青山学院大学のゼミ・研究室

これまでゼミ生が卒論で取り上げたテーマは、人種差別、移民排斥、階級格差、ジェンダー不平等など。つまり、現代的な課題を研究テーマとする学生がたくさんいます。現在を相対化する歴史学の視点は、これらの諸課題にアプローチする一つの有効な方法となります。過去の事実と向き合うことは、現代社会に特有の問題だと思っていたことが、実は昔から継続する問題であると気付いたり、今では常識だと思われていることを問い直したりするきっかけとなるからです。

「歴史学ならこう考える」という思考の型を身につけることは、困ったとき、社会を変えたいと思ったときに、きっと役に立つでしょう。

大学で歴史学を勉強することで、たくさんの資料から必要な情報を引き出す力、自分の意見をまとめてわかりやすく表現する力、プロジェクト管理の力など、さまざまな実践的スキルを身につけることができます。

また、ゼミのディスカッションを通じて得られる、共同作業によって新しいものを生み出す経験、ほかの学生の問題意識や関心に触れて価値観が揺さぶられる経験、世界の見方が変わる経験は、自分と社会の在り方を見つめ直すきっかけとなるはずです。

ゼミでは主に「クリティカル・リーディング」と「グループワーク」によって、学生たちが互いに学びを深め合っていきます。クリティカル・リーディングでは、乳幼児期の子どもが育ち、学ぶことに関する保育学研究の基本文献を購読して報告し合い、研究の知見は何か、どのような課題があるかなどを学びます。購読する文献のテーマは、保育・子育てに関する歴史と言説、制度と政策、方法と内容、保育者の語りと実践、ものとメディア（例として絵本、おもちゃ、TV番組）など幅広く、学生が自分の関心に沿って選びます。グループワークでは、保育・教育・子育てに関する調査研究の問いを立て、問いに即した研究動向のレビュー、メディア調査、フィールドワークなどを行います。そしてデータや資料を収集して考察、発表し、全体での議論を通して問題の解決法や新しい知見の可能性を検討。これまでにも「学校や幼稚園におけるジェンダー教育はどう変わったか」「男女共同参画社会に向けて事業所内保育所はどのような機能をもつか」「保育のICT化は保育者の労働環境をどう変えるか」「コロナ禍で子どもの遊びにどのような問題が生じたか」などをテーマとして取り上げてきました。

クリティカル・リーディングでの学習成果をいかして、テーマに関する研究や文献の調査を行って研究動向を明確化したり、メディア調査では新聞の主要紙の記事を検討して、誰がどんなことを語り、何が問題とされてきたかなどを考察したり。そこで得られた知見をもとに、フィールドワークの内容・方法を検討し、実施していきます。また、これらの調査研究の成果は研究報告書にまとめ、パワーポイント資料を作成し、ゼミで発表します。

ゼミでの学びから、保育・教育や子育てに関わる素朴な問題・関心をもとに、その問題をさまざまな観点から総合的に捉え、「問題の認識を共有し解決するためには何が必要かを論理的に考える態度と方法を身につけてもらいたい」と福元教授は考えています。そのために、研究の学術的な観点、メディアにみる社会的文脈の観点、フィールドの実証的調査の観点から得られた作業の成果をふまえ、自らの考えを深めて、相手に説得的に伝える研究報告の方法が、ゼミではしっかりと身につけられます。グループワークとゼミ全体の議論を通して、自分とは異なる経験や考えを持つ人たちと対話し、視野を広げながらお互いのよさを認め合い、ともに探究する過程を大切にできる人材へと育成します。

同学は、国際社会とSDGsに関する活動と教育・研究が盛んな大学であり、ゼミは、それらの取組みの中核的な役割を担っている存在でもあります。日常の身近な問題から社会全体の問題を探究しようとする知的好奇心にあふれ、学生も教員も一人ひとりの違いによる多様性を尊重して認め合うしなやかな人間関係の土壌があります。あなたも、自分がどんなことに挑戦したいのかをこの大学で見つけてみませんか。

入ゼミ1年目（3年次）では、3～4人で構成されるグループ内で切磋琢磨しながら、統計データ分析の礎となる統計理論の学習と統計分析ソフトウェアを用いたコンピュータ実習を行い、その後、テーマ設定、データ取得、データ分析、論文執筆までのすべてをグループメンバーで行うグループ研究を進めていきます。

2年目（4年次）では、1年目の経験を生かし、ゼミでの学修の集大成として卒業研究を行います。グループ研究や卒業研究において、自らの興味・関心に応じて自由にテーマ設定ができることが田中ゼミの最大の特徴です。これまでに取り上げられた研究テーマは、「マクロ経済指標を用いた電力需要予測」「都道府県魅力度を上げるための施策」といったものから「無観客試合がスポーツ選手の成績に与える影響」「消費者のアイスクリームの選択基準と新商品コンセプトの提案」「恋愛を成就させるための要因分析」まで多岐にわたります。

”ビッグデータ”や”AI”といった用語が世間一般に定着してきました。統計データ分析の重要性が非常に高まっていますが、このトレンドが今後ますます強くなっていくことに疑いの余地はありません。

統計データ分析というと「数学を多用する」というイメージが非常に強く、数学に自信がある人以外は敬遠してしまうかもしれません。ちょっとまってください、統計データ分析に対する興味・関心があれば、「文系」を自認する皆さんであっても、大学入学後に各種授業の履修を通じて必要水準を満たすことが十分可能です。青山学院大学経済学部で統計データ分析の学修に打ち込み、統計データ分析の魅力を体感してみませんか。

法学部ヒューマンライツ学科 森本麻衣子准教授のゼミでは、自分自身の知性・感性を開くための知的訓練を自身に課すため、教員の専門である社会人類学における「エスノグラフィー」、ジャーナリズムにおける「ルポルタージュ」、アート・ジャーナリズム・アカデミズムを横断する映像表現としての「ドキュメンタリー」といった“具体的な経験”にもとづく文献や映像作品を用います。

まず、教員や学生が選んだドキュメンタリー映像を一緒に視聴したり、ノンフィクションの文献を各自で読んだりしたうえで感想を書き、学生同士で共有します。その後、学生が、取り上げられた問題や現象を深堀するために必要だと思うリサーチを行い、発表を実施。発表内容を受けて学生でディスカッションをさらに繰り返し、作品の背後にある質的調査や現場取材の方法論・認識論をより深く学びます。そうして得られた学びをフィールドに出て実践することで、法を学ぶ者としての想像力、共感力、批判力のキャパシティを広げることを目指します。

ゼミで取り上げるテーマは、所属する学生たちの関心に応じて、戦争・紛争、貧困や経済格差、虐待、障がい、公害、メンタルヘルスなど多岐に渡ります。しかし、どのようなテーマを取り上げる場合でも、人権問題を抽象的・概念的に論じるのではなく、“まずは社会のさまざまな矛盾のなかで苦闘する人の姿と向き合うところから始め、そのうえで法や制度の問題を考察していこう”という意識を教員と学生で共有しています。

本当の意味の「平和」からは程遠い、あまりにも多くの問題が山積する私たちの世界の有様を知れば知るほど、学生が途方に暮れるような気持ちになってしまう場面もあります。しかし、どんな問題が、なぜ生じていて、またその問題が今を生きる“私”とどう関係があるのかなどを、教室という場でお互いを尊重しあいながら、丁寧に自分の言葉で表現していく経験を繰り返していきます。そして、より良き世界をつくることを、簡単には諦めない姿勢を身につけてほしいと思っています。

では、消費者に支持されるために企業は何をすべきでしょうか。

その1つは、消費者行動に関する理解を深めること、とりわけ「心の可視化」です。消費者がどのようなニーズを持ち、何を基準に特定のブランドを購入しているのかといった消費者の心理的側面を理解してはじめて、企業は進むべき方向性が見えてきます。そして、それらを具体的なマーケティング戦略に反映させ、売れる仕組みを常に強化し続けていくことが企業の成長と存続につながっていくのです。

土橋研究室では、現実世界で起こっているマーケティング現象を、とりわけ消費者行動という観点から観察し、分析し、説明し、予測することを目的としています。クチコミが消費者の心理や行動に対して与える影響、航空会社のマーケティング戦略と顧客満足など、消費者行動とマーケティングとの関わりを扱ったものであれば研究テーマは自由です。

消費者の心を可視化するには、認知心理学や社会心理学、場合によっては文化心理学など、さまざまな学問的知識が必要となってきます。これらは、グループ・ワークによる研究（調査・実験・データ解析・事例分析）、卒業論文、テキストや資料の輪読などを通して習得していくことになります。特に3年次には、研究成果を発表する場として他大学との討論会を用意しています。これは、同年代の学生同士が切磋琢磨しながら成長していく機会であるとともに、実務家や学識経験者に研究成果の審査を依頼することで、理論と実務を結びつける力が養われる貴重な機会ともなっています。2年間にわたるプログラムによって、問題発見能力、論理的な分析能力、プレゼンテーション能力など、社会人となっても役立つような能力を身につけることができます。

藤重博美教授のゼミで特徴的なのは「英語での卒論執筆」を活動目標としている点です。英語の論文と聞くとハードルが高いように感じられるかもしれませんが、大学生活後半の2年間をかけてじっくり執筆していくため、所属する学生も毎年しっかりと完成させています。卒論の研究テーマは、共通テーマである「Global Governance」をベースに、学生一人ひとりが関心を持ったテーマを選択します。テーマ選びに苦戦する学生も、毎週行われる進捗報告の中で同じゼミの学生たちと議論を重ね、徐々に問題意識を深めていくことで、自分に合ったテーマを見つけることが可能です。

また、卒論執筆と並行、英文での論文執筆法も学修します。ゼミ以外の活動にも積極的に参加し、2021年度秋には、青山学院大学で実施したGlobal Weekの一環で、途上国の食糧危機を研究している学生は「SDGs2（飢餓）」、国連の感染症対策について学んでいる学生は「SDGs3（健康と福祉）」、アフリカの司法制度と国際社会との関係を研究している学生は「SDGs16（平和と正義）」との関連など、ゼミ生の卒論とSDGsの関係を研究・発表しました。

藤重博美教授がゼミ活動を通じて学生に学んでほしいと考えているのは、第1は、自分自身で能動的に学ぶ姿勢を身につけること。同ゼミは学生の自主性尊重をモットーとしています。最初は「なんでも自由にやっていい」と言われて戸惑ってしまう学生もいるものの、「面白い！」という気持ちを大事に研究する中で、自分の関心があることを学ぶ楽しさを感じることができるでしょう。

第2に、論理的に議論する能力を獲得することです。ゼミで行われる毎週の進捗報告では、議論の詰めが甘い部分などについては学生同士でお互い忌憚なく意見を交換していくうちに、客観的な根拠に基づき、論理的に議論を行う姿勢が身についていきます。

第3は、視野を広げることです。同ゼミでは自分の勉強だけでなく、ほかの学生の卒論研究にも触れることになるので、それまで関心のなかった事柄にも目を向けるよい機会となります。また、卒論執筆のほか、各自が取り上げた国際ニュースについて議論する機会も設けているのも、視野を広げることに役立っています。

青山学院大学国際政治経済学部で、他人に強いられる「勉強」ではなく、「自学」――自分で学ぶこと――の楽しさを見つけてみてはいかがでしょうか。

毎年、3年生・4年生あわせて、国際政治、移民・難民、民族・人種・エスニシティ、文化交流、現代アートなどに関心を持つ、チャレンジ精神旺盛な30人以上が参加しています。座学だけではなく学外活動も重視しており、3年生の夏のゼミ合宿では、ゼミ生全員で話し合ってテーマを決め、グループに分かれて調査に基づくプレゼンテーションを行い、全体で討論を重ねます。直近のテーマは「多文化の課題とSDGs」でした。4年生は冬のゼミ合宿で卒業論文報告会を行います。

飯笹ゼミのそのほかの活動としては、モスクの見学、映画上映会の実施、芸術祭への参加などがあります。写真は、2021年12月に3年生たちとイスラム文化を学ぶために訪れた、渋谷区にある日本最大のモスク「東京ジャーミイ」の礼拝堂で撮ったものです。女性はイスラム式に頭髪をヴェールで覆っています。

グローバル時代に求められる「教養」には、他者の文化についての知識の習得に加えて、2つの「ソウゾウ」の力、つまり自分が体験しない遠い世界の出来事にも思いを馳せることのできるイマジネーション（想像力）と、問題解決に向けたクリエイティビティ（創造力）が大切です。

飯笹ゼミでの学びや活動を通じて、こうした「想像＆創造」力を身につけ、多文化の共生を実践できる人を目指してみませんか。

太陽光発電の発電部分を担うのは「太陽電池」という半導体素子です。太陽電池の発電原理を理解するためには、半導体の基礎的な物性の理解は必要不可欠。理工学部電気電子工学科 石河泰明准教授の研究室では、大学の講義で学んだ半導体物性を復習するとともに、さらに専門的な知識を修得し、より深い理解を目指します。

研究室で行っている研究は、太陽光発電の長期間利用に向けた「太陽光発電の健康診断技術」の開発です。いち早く異常を検知する技術の開発や、そのための基礎的な研究です。ほかにも、「より高効率化で軽量な、建物の壁面にも設置できる太陽光発電素子」「廃棄問題を考慮した太陽光発電素子」「太陽光だけでなく屋内の光も有効に電気に変換できる素子」といった研究も進めています。

適材適所という言葉があるように、エネルギーにおいても、一つの発電方法ですべてが解決できるわけではありません。そのため、太陽光発電を中心に研究している同研究室でも、体温と外気温の温度差で電気エネルギーを生み出す、温度差を利用した発電（熱電発電）の研究も行っています。それぞれの発電方法のメリット・デメリットを理解し、電気が必要な場所ごとに適した発電方法を選択するための、本質を見つめ理解することの重要性も身につけることができるでしょう。

石河准教授自身も、本格的に太陽光発電に興味を持ったのは大学の講義を受けてからだったといいます。学生のみなさんの周りにも、日々いろいろなところに皆さんを刺激する起爆剤は転がっているはず。やりたいことを見つけるアンテナを広げるため、青山学院大学に来て、一緒に学んでみてはいかがでしょうか。

既存のビジネスにICTを導入したり、異業種のコラボレーションにより新たなサービスやイノベーションを起こしたり。データに基づいて事業を提案し、評価することが現代社会では増えてきています。

このような異分野融合の試み、つまり計算社会科学が、近年、学術的に注目されており、それと同時にビジネスの世界でのニーズも高まっています。

大林研究室では、大規模社会データを情報技術の力で処理し、分析する計算社会科学の学びを通じて、複数の分野の知識や技術を融合させることのできる能力を養うことが目標です。

それにより、ICTやIoTの発達により新たに生まれた社会課題を、ICTやIoTをもってして解決できる。社会からニーズの高まるスキルを備えた人材の育成を目標としています。

エリックゼミは常に学生が主体となり、考え、行動します。3つのキーワード「直感」「共感」「官能」をもとに、プロの音楽家でもあるエリック先生が提唱している「アーティスト思考」で、ゼミ全体がアクションを起こしていきます。学生は自分自身と向き合っていく中で、自分でも気づいていなかった興味や関心を引き出し、エリック先生のほか、国内外で活躍している社会人アドバイザーとコミュニケーションを重ね、SDGsやダイバーシティ＆インクルージョンなど、社会課題から自分が取り組むテーマを絞っていきます。

ゼミ生たちは、エリックゼミ全体をメディアととらえ主体的にメディアの機能となり、ゼミ生それぞれが情報を収集し発信していく中で、グローバルな視点からメディアを学びます。アクションするだけではなく、情報を拡散する重要性を知り、それぞれが取り組んでいるテーマやエリックゼミの認知向上に生かしています。TikTok、Twitter、InstagramなどのSNSを通して情報発信し、世界に問いかけ続けています。

また、現役で活躍している社会人たちがエリックゼミに賛同し、アドバイザーとして在籍しています。その顔触れは、世界的なミュージシャンやトップアスリート、経営者やアーティストなど、実にさまざま。アドバイザーと対等に交わり、共感することで既成概念を壊し、新しいアイデアが生まれ、ゼミ生それぞれが事業を構想し、新しい未来の創造にチャレンジしています。

エリックゼミは各学年10名をベースにしていますが、外部とのコラボレーションを重視し、活発にコラボレーションを行い、プロジェクトベースで変化するジョブ型のゼミになっています。新しいものを生み出したい、地球規模の問題を解決してもっと世界を変えたいなど、一緒に大きなビジョンを描きたい仲間をお待ちしています。

近年、新型出生前診断によって、出産前にダウン症であると確定診断された胎児の9割が中絶されるという現象が起きており、その対応も国によってさまざまです。

日本と他国を比較する中で、出生前診断技術と私たちはどう向き合っていけばよいのか、「ゼミ生たちと一緒に考えていきたい」と杉田先生は語ります。

杉田ゼミの特徴的な研究方法としては、その人のライフストーリーを聞くということが挙げられます。実際に杉田先生はこれまでたくさんのマイノリティの人たちのライフストーリーの聞き取りから、その人のことをより深く知ることができ、人間観を豊かにできたと実感しているそうです。

さらにゼミでは、しょうがいのある人本人やその支援をしている人たちをゲストに招いたり、地域で出会ったりしながら、自分はどのような人間観を持っているのか、俯瞰して自分のことを見つめ、さらに考えを深めていきます。