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ゲームで明らかにした人間の行動判断基準を災害時の避難誘導に応用

【国際情報学部 国際情報学科 飯尾研究室】

■課題解決に挑む学問
情報学・通信>>情報学
■該当するテーマ
健康・安全

避難行動や注意喚起を促す、効果的な情報提供を考える

「命を守るため、一刻も早く逃げてください!」「東日本大震災を思い出して!」
──津波警報を伝えるアナウンサーは、強く願うような口調で避難行動を促します。東日本大震災に見舞われた2011年、東北から関東にかけての太平洋沿岸では、津波から逃れることの緊急性が十分に伝わらず多くの命が奪われました。その反省から津波警報が発令されると、急を要する非常時であることが強調されるようになりました。人に行動させることの難しさは、歩きスマホが危険であることを伝える駅の放送が、何年も流されていることからもわかります。人は「正しい情報」に触れたとしても、それにしたがい行動に移すとは限りません。国や自治体、企業や地域が速やかに情報を提供し、多くの人を的確な行動に導くことは、いまだ正解が定まっていない社会的課題の一つといえます。そしてその解決に、情報学の分野からアプローチする研究室が中央大学国際情報学部にあります。

データ分析により、人が判断し行動を起こす基準を明らかにする

中央大学国際情報学部の飯尾研究室は、行動情報分析をテーマにしています。「人が行動したり判断したりする際の、情報のやり取りにフォーカスしています」とは、研究室を率いる飯尾淳教授。研究室では人間の行動や判断をデータ化して分析し、その結果から行動判断の基準や傾向を明らかにします。さらに「明確化した基準をわかりやすくビジュアル化することで、効果的な避難誘導や注意喚起に役立ててもらいたい」と、研究の社会還元も視野に収めている点が、同研究室の特徴といえます。とはいえ行動判断の法則性を見つけるとなれば、そのデータを取る多くの被験者が必要です。しかもどのようなデータにするか、そのデータをどのように取得して分析するかに、汎用性のある公式が定まっているわけではありません。飯尾教授も「課題設定やデータの収集法の考案などの初期設定が難しく、それだけに成果が出た時のやりがいが大きい研究です」と語ります。

オンラインアンケートとゲームを融合したツールを開発

統計上で有意な数の被験者を集め、どのように協力してもらうか? その手法として考案されたのが、オンラインアンケートとゲームの融合。活用したのは、ノベルゲームやシミュレーションゲームを作成するためのプラットフォームでした。「ゲームであれば選択肢によって先のシナリオが変わり、アンケートであれば選択肢の分布がわかります。私たちはそれをカスタマイズし、選択にかかった時間を記録できるようにしました」。このツールによりゲームで判断に時間を要した選択肢と迷わず選べた選択肢を解析し、情報提供のあり方に役立てます。こうした社会課題以外にも、研究室では映画のポスターやファッション画像の印象評価を行うツールを開発して実験をしたり、AIと人間が出題した問題を判別できるかの検証を行うプラットフォームを作ってAIの有効性を検証したりしています。飯尾教授は「学生と課題を探しながら、さまざまな分析に活用したい」と、研究室が制作したツールの可能性を語ります。

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