法学部

少子高齢化社会を変える・導く、民法のチカラ

法学部・山岡 航先生
法学部・山岡 航先生

高齢者や家族に適切なルールを

一般に「高齢者」というと、弱く、守るべき存在というイメージがあるようです。しかし、そういった「弱さ」があるとしても、その程度は個々人で大きく異なります。そういった「弱さ」のない高齢者もたくさん存在しており、単に高齢者といってもその内実は人それぞれです。そう考えると、ひとくちに「高齢化」に対応するルールといっても、簡単ではないことがわかるでしょう。すべての高齢者にとって適切なルールとはどんなものなのかを探究する必要があるのです。
また現在では、いわゆる結婚をした男女とは異なる家族のカタチが増加しています。このように多様化する家族を法律でどのように扱っていくのか(法律で正式に認めるのか、認めないのか)ということは長年にわたりつつも、同時に常に新しい課題です。子どもを産み育てることに家族が役割を果たす以上、少子化を問題とするのであれば、家族について考えることは欠かせないからです。

トラブルの解消から未然防止まで

少子高齢化に起因して、土地の持て余しや、認知症の高齢者を狙った悪徳商法、さらには家族に関することなど、さまざまな問題が起きています。これらはいつ私たちの周りで起こっても不思議ではなく、早期解決が望まれます。法律がいかに社会の土台とはいっても、少子高齢化問題を強制的に解決することは不可能です。そこで、法律の中でももっとも基本的なものであり、かつ私たちに身近である「民法」の出番です。民法は、少子高齢化の中で起きている、あるいは起こりうる問題の解決をめざします。
民法を用いることにより、高齢化に関しては前述したようなトラブルに直面している、あるいは将来において遭遇する人々を助け、幸福な生活の保障をすることができるでしょう。また、少子化に対しては、子どもを産み・育てやすい社会を創造するなどの環境を整えることで問題へのアプローチがなされます。
少子高齢化だけでなく多様性という観点からも、家族のカタチは今後も重要なテーマであり続けます。あらゆる問題に広く公平な視点から提言をするのも、この学問の目標です。

「決まりごと」に疑問を持てる人に

「決まりごと」に疑問を持てる人に

法律は「ルール」の1つとして、人々がどう行動するかの基準となります。ルールを守るべきであることはもちろんですが、他方で現在のように変化が激しい世の中においては、状況に合わせてルールを変えていくことが必要です。そのためにはまず、既存のルールに対する疑問を持たなければなりません。日常生活の中で、法律に限らず「決まりごと」に対して疑問を持てる人は、法律学に向いているといえるでしょう。
ルールを変えるためには、多様な人々がいる社会が「どのようにしてうまく動いているのか」、「そのためには何が大事なのか」ということを考えなければいけません。社会の本質を探り、新たなルール作りに思考を巡らせる。民法の学びは、きっとあなたの想像以上に刺激的です。

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