現代社会学部

若い世代のケアラーを取り巻く支援の在り方とは

現代社会学部・澤田景子先生
現代社会学部・澤田景子先生

安定した生活に必要な環境やサポートを

安定した生活に必要な環境やサポートを

子どもが介護を担うヤングケアラー、20代や30代が介護を担う若者ケアラー、子育てや介護といった複数のケアを同時に担うダブルケアラー……。これらのケアラーは、学業、進学、就職、友人関係、キャリアの形成、結婚、子育てなど様々な場面において、ケアラーとしての役目を担うことの無い同世代の者と比べて、多くの不利益を被りやすいと指摘されています。その一方で、このような介護問題は、家庭内のデリケートな問題ゆえに周囲には話しづらく、またケアラー自身が介護をしている自覚を持っていないことも多いと言われています。
しかも「介護は家族がするもの」という考え方が根強い日本においては、周囲も社会もこのような状況に対して、これまで積極的に向き合ってはきませんでした。今後、私たちが直面する社会は、ケアの受け手も支え手も、基盤となる地域のあり方も、これまでの制度が前提としてきた社会とは大きく異なります。
若い世代のケアラー自身の声、支援活動を行う団体との協働、行政との意見交換などをとおして、彼ら・彼女らがどのような現状にあり、課題に直面しているのかを把握し、生活の安定を得られるために必要な環境やサポートについて考えます。

ケアに対する社会的評価を高めたい

ケアに対する社会的評価を高めたい

ヤングケアラーや若者ケアラー、ダブルケアラーを取り巻く支援の在り方とは? これをテーマに据えて考える本研究は、従来の日本のジェンダー観や介護観、家族観、それらを前提とした制度の在り方を問い直すものです。またそれは、将来世代を見据えた家族施策やケアシステムの構築にも寄与するものと考えています。
まずは若い世代のケアラーを取り巻く実情について把握し、社会的理解を促進していくことを目指します。重要なのは、周囲の人々が若い世代のケアラーの存在や悩みに気付くことだからです。若い世代が担うケアに対する社会的評価を高め、当事者たちが不利益を被らない環境づくりへとつなげることが大切だと考えています。

考え抜く力や課題を解決する力を養成

考え抜く力や課題を解決する力を養成

少子高齢化が進む今日、誰もが家族のケアに直面する可能性があります。本研究においては、福祉に関心のある学生のみならず、広く様々な分野で学ぶ学生たちが、当事者や支援団体、行政らとの関わりをとおして、一人ひとりが「ケア」に向き合い、考え抜く力や課題解決に向けて行動する力を高めていきます。
若い世代のケアラーを取り巻く厳しい現状に対し、世代や性別、立場を超えた包括的な視点での検討を加えるとともに、支援を担える人材の育成システムや支援プログラムの構築に向けた課題などについても明らかにしていきたいと考えています。
なお、ここで記した内容は、私の担当授業「上級まちづくり演習」にて取り上げます。ふだんの生活ではなかなか気付きませんが、実は身近に存在している地域の課題解決に向けて、ぜひ一緒にチャレンジしましょう。

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