音楽・イベント分野の職業
舞台俳優
HONEST株式会社
森岡 朋奈さん
Profile![]()
入社年
2024年
出身
東京都
今の職業を目指したきっかけ
父が演出家や映画監督、脚本家として活動しており、小さい頃から芝居が身近にある環境で育ちました。父が主宰する劇団の公演には3歳から出演していて、物心ついた頃には生活の中に芝居がありました。幼い頃は「やらされている」という気持ちが強く、楽しさはあまり感じていませんでした。しかし、中学生になり目立つ役柄で舞台に立つようになると、責任感とともに演じることへのやりがいを感じるようになりました。この仕事で生計を立てていきたいと思ったのは、高校3年生の時。進学したい大学もありましたが、「この先もずっとお芝居を続けたい」と強く思い、本気で夢と向き合うことを決意し、進学ではなく社会に出るという道を選びました。
Q.仕事内容を教えてください。
台詞を覚え、実際に体験する
役との境目をシームレスに
俳優の仕事は、役になりきって物語を生きることです。その役の好物を食べてみたり、趣味を体験してみたりと、自分自身をできる限り役に近づけた状態で本番に臨みます。そのために一番重要なのは、台詞を完璧に覚えることです。台詞が入っていなければ、相手とのやり取りや感情の流れに集中することはできません。私は、相手役を用意し、実際に読み合わせをしながら身体で覚えていくようにしています。また、劇団の一員として公演を行う場合は、演じる以外にも大道具の製作やセットの仕込み、ビジュアル撮影やグッズデザインなど、制作業務に携わることもあります。

©︎石澤瑤祠
Voice!
舞台は開演から終演までずっと演じ続けなければなりません。だからこそ、「役に入り込む」ことは俳優にとって何よりも大切です。
Note1
体型管理も含めて全身全霊で行う役作り
役になりきるためには、演技だけでなく見た目も役に寄せる努力が欠かせません。実年齢とは異なる人物や病気を患っている人物を演じることもあり、作品によっては大幅な体型の変化が求められます。役をいただくタイミングは作品によってさまざまで、半年以上前に決まることもあれば、1〜2カ月前に決まることもあります。短期間で体型を変えなければならない場合は特に大変です。私は太りやすい体質なので、いつも体重を落とすことには苦労をしています。過去にがん患者を演じた際には、大幅な減量が必要でした。筋肉がつくことを避けたかったため、運動を控えながら食事制限を続ける日々は、とても過酷だったことを今でも覚えています。
Note2
心に刺さる舞台の秘訣はストイックな向上心
本気で俳優を辞めたいと思ったことは一度もありませんが、本番までの過程で行き詰まることは多々あります。以前、稽古中になかなか演出家の求める演技にたどり着けず、何度挑戦してもOKをもらえないことがありました。演技に正解はありませんが、「演出家の求める演技」はあります。さまざまなアプローチを試しながら何度も挑戦し、やっとの思いでOKをいただけたときには、大きな達成感がありました。演出家や出演者とコミュニケーションを取りながら、チーム一丸となって舞台を作り上げていくプロセスには、当事者だけにしか味わえない魅力があります。
Q.1日のスケジュールは?
舞台公演本番の1日!
\スタート!/
10:00
劇場入り
劇場に到着後、楽屋でリハーサル着に着替え、食事を済ませるなど、リハーサルの準備をします。 時間がない場合は、このタイミングで衣装に着替えたりヘアメイクを行ったりします。
11:00
点呼・アップ
出演者全員が舞台上に集まり、点呼を行います。その後、リハーサルまで各自アップしたり台本を見返したりします。
12:00
リハーサル
見せ場となるシーンの動きや演出を確認しながらリハーサルを繰り返します。
13:00
着替え・ヘアメイク
本番に向けて衣装に着替え、ヘアメイクをします。
14:00
マチネ(昼公演)開演
約2時間の公演を行います。本番中は舞台に、出番以外は舞台袖や楽屋で待機しながら、次の出番に向けて台詞や動きの再確認を行います。
16:00
マチネ(昼公演)終演
終演後、舞台に再登場しお客さんを見送ったり、面会(楽屋にお客さんが来て話をすること)をしたりします。※実施の有無は公演により異なります。
17:00
フィードバック
演出家より、マチネ(昼公演)のフィードバックを受けます。照明や音響の担当者も含め、公演に関わる全員で改善点を共有します。
18:00
リハーサル
フィードバックを受けて動きを調整したり、見せ場となる部分のリハーサルを行います。
19:00
ソワレ(夜公演)開演
約2時間の公演を行います。
21:00
ソワレ(夜公演)終演
終演後、舞台に再登場しお客さんを見送ったり、面会をしたりします。※実施の有無は公演により異なります。
22:00
退勤
着替えや楽屋の片付けをして退勤します。
Q.お仕事に必要なスキルは?
感情をむき出しにする仕事
「好き」という気持ちが何より大切
演じることが好きで、それに対して恥じらいがないことが大切です。演技はいかに感情を表に出して相手に伝えられるかがポイントとなるので、泣いたり怒ったり、笑ったりと自分のいろんな姿を恥じらいなく見せられる人、つまり演じることを心から好きだと思える方が向いていると思います。また、舞台ではダンスや歌を取り入れることが多いので、学生のうちから学んでおくと、活躍の幅が広がると思います。
Q.お仕事の魅力を教えてください。
自分の演技で人々の心に
ダイレクトに影響を与えられる
舞台や映画、ドラマは、生きていくうえで必ずしも必要なものではないかもしれません。それでも多くの人が作品に触れるのは、エンターテインメントには人の心を動かす力があるからだと思っています。作品を見て穏やかな気持ちになれたり感情を大きく動かされたり、そんな瞬間を生み出すことができるのがこの仕事の魅力です。特に舞台は、目の前でリアルタイムで物語が進んでいくため、お客さんとの一体感や感情の共有がより深いものになります。時には行き詰まることもありますが、SNSでの反響を目にしたり感想が綴られた手紙をもらったり、お客さんからの言葉は心強く、励みと原動力になっています。
高校生へメッセージ
「好き」を信じた先にある未来に向かって迷いながらも全力で走り続けて
「才能」という言葉が指すものは多数ありますが、私は「夢を諦めずに追い続けられること」も才能の一つだと考えています。俳優として生計を立てることは、決して簡単ではありません。だからこそ、不安になったり迷ったりすることもあると思います。でも、迷うということは、それだけ真剣に自分の未来と
向き合っている証拠なので、決して悪いことではありません。「好き」という気持ちを信じて努力し続けた先には、きっと自分だけの未来が待っているはず。このインタビューが、夢に向かって一歩踏み出そうとしている皆さんの背中を少しでも押せたらうれしいです。
※記事内容は、2026年6月取材時点のものです。