建築・土木・インテリア分野の職業
BIMエンジニア(建設DX推進)
清水建設株式会社
建築総本部 生産技術本部 建設DX基盤部
尾園 正樹さん
Profile![]()
入社年
2012年
出身
宮崎県
学生時代専攻していた学部学科
人間環境学府 空間システム専攻(建築構造学)
今の職業を目指したきっかけ
幼い頃から、街並みが大きく変わるような“巨大なものづくり”に憧れがあり、高校生のときには、将来「自分の手で形に残るものをつくりたい」と考えていました。大学院では建築構造を学び、図面に描かれた線が人の手により建物になり、街の一部となっていく過程に魅力を感じ、建築施工管理として建設会社へ入社しました。そして、数年間、国内外の建設現場で経験を積むなかで、設計と現場の間に生まれる情報伝達のタイムラグや、アナログ作業の多さを目の当たりにしました。そこで、現場で培った経験を活かしながら、デジタルという武器を用いて、設計から現場まで、全員が情報を正しく共有できる仕組みそのものをつくりたいと思い、現在は最新のデジタル技術を活用した建設プロセスの支援・変革に携わっています。
Q.仕事内容を教えてください。
最新技術を用いたデータを
“誰でも活用できる”土台をつくる
メインの仕事は、建設現場の課題を根本から変え、生産性を高めていくためのデジタル基盤を整えて、実際に現場で活用できるような仕組みをつくることです。そのために、主な業務は3つあります。1つ目は、データ活用の標準化。BIMをはじめとする建築に必要なデータツールにおいて、誰でも正確かつスムーズに扱えるよう、データの構造や運用ルールを作っています。2つ目は、デジタルツールの導入です。現場の課題を解決できるようにソフトやアプリを導入し支援。ただツールを導入するだけではなく、現場で簡単に活用・定着できるよう意識しています。3つ目は、現場の声を活かした新たなサービスの開発です。「現場で本当に使われるツール」を目指して、全国の現場担当者から集めた課題や要望をもとに、新たなシステムなどの開発も行っています。
Voice!
作業はPCやモニターを使うことが多いですが、実際に現場へ足を運ぶ機会も少なくありません。施工管理の経験を活かしながら、ITと現場の橋渡し役になるよう意識しながら働いています。
Note1
最新デジタルツールをスムーズに活用する仕組みを整える
最も力を入れているのは、BIMを中心としたデータ活用基盤を現場で実装することです。BIMとは、3Dの建物モデルに材料やコストなどの情報を組み込み、管理するデジタルデータ。このデータを活用し作業を進めるのですが、それぞれのデータが違うルールでつくられていると、現場で十分に活用することができません。そのため、設計・施工・管理まで一貫したルールで情報の共有・活用ができる仕組みづくりに取り組んでいます。
Note2
現場とITの橋渡しとなる提案をすることが重要
業務内容はITに近いですが、常に「現場とITの翻訳者」であることを意識しています。ITの専門用語やデータをそのまま伝えるのではなく、現場にいる職人さんに伝わるようにデータ展開をすることを常に心がけています。また、新たなシステムや技術も、ただ導入するだけではすぐに効率化はできません。本当に現場の負担が減るのか、必要とされる仕組みなのかを現場の声からも判断し、納得してもらった上で運用を進めています。
Q.1日のスケジュールは?
現場作業前の1日!
\スタート!/
8:30
始業・メール確認
メールとチャットで全国の現場から届くSOSや伝達事項がないかチェックします。現場の工事は朝が早いため、トラブルの兆候があれば即座に対応できるよう、優先順位を整理して1日をスタートします。
9:00
BIM、DX推進プロジェクトの進捗確認
BIMやDXデータ活用の進捗を確認。データが正しく各拠点へ流れているか、エラーが出ていないかを検証します。ただ管理するだけでなく、現場で使える「生きたデータ」になっているか、技術的な視点から細部までチェックします。
10:30
データ整理
前日の現場作業で取得したデータや、現地で撮影した写真を整理します。
11:00
現場担当者へのヒアリング
仕事のなかで最も大切な時間です。Web会議や現場訪問を通して、現役の所長や担当者と会議をします。「もっと効率化できないか?」といった現場の声を集めます。
12:00
昼食
同僚やチームのメンバーとランチへ。仕事柄、建設業界の話題や新しい技術について話すことも多く、新たなアイデアにつながることもあります。
13:00
DX基盤構築・システム開発の打ち合わせ
現場の要望を開発チームと共有し、システムの改良や、課題解決に向けた方針など、徹底的に議論します。現場とエンジニアをつなぐ「橋渡し役」の腕の見せどころです。
15:00
技術資料作成・検証
現場で活用するためのマニュアル作成や、検証環境でのテストを行います。新しいルールを全国の現場へ展開するための資料となるため、誰が読んでもわかりやすい資料づくりを心がけています。
16:30
チームミーティング
担当現場の状況を共有。上手くいっている成功事例や、逆に苦戦している現場の課題を出し合います。全国の現場で知見が即座に共有されるような、横のつながりも意識して動いています。
17:30
業務整理、翌日の準備
現場からの依頼事項への対応を終え、翌日以降の現場ヒアリングに向け準備をします。現場の担当者が気持ちよく翌日の業務を迎えられるよう、課題をその日のうちにクリアにしておくことが大切です。
18:00
終業
現場からの報告に目を通し、進捗を確認してから退社。現場の安全と効率が守られていることを確認して1日の業務を終えます。
Q.お仕事に必要なスキルは?
複数の視点から物事を考え
常に問いを考え続けることが大切
ITと建設現場、両方の視点を理解し、それぞれの考え方を相手にわかりやすく伝える「翻訳力」が欠かせません。ITの専門知識や技術も大事ですが、それだけではなく、ITと建設現場、それぞれの仕事の流れや考え方を理解した上で、双方の橋渡しをすることが重要になります。そのためには、建設分野の基礎知識をしっかり身につけ、それぞれの立場に立って物事を考えて伝える力が求められます。また、現場での業務に対して「もっと楽に、そして正確にできないか?」と常に課題意識を持ち、改善策を考え続ける姿勢も大切です。現場の声をもとにデジタルツールを活用し、より良い仕組みへとつなげていく発想力と探究心が、この仕事には欠かせません。
Q.お仕事の魅力を教えてください。
データから、
建設現場の環境アップデートに役立てる
最大の魅力は、自分が提案したツールや仕組みが全国の建築現場で活用され、現場全体の働き方や生産性の向上につながることです。施工管理をしていたときは一つの現場を支えることがメインでしたが、今は会社全体、さらには業界全体を支えることができることに、やりがいを感じています。また、どんなに優れたシステムでも、現場で働く人たちの信頼や納得を得ないと定着できません。そのため、実際に現場に足を運び、直接職人さんや所長の顔を見て対話を重ね、現場から見て本当に役立つツール作りをできるよう心がけています。その結果として、相手から「使いやすい」「仕事が楽になった」という声をもらえたときや、信頼してもらえた瞬間に、この業務ならではの達成感を感じています。
高校生へメッセージ
高校生のうちはのびしろだらけ!興味のあることを深掘りし、強みにして
学生のうちは、まだ将来の目標がはっきり決まっていなくても大丈夫です。私も学生時代から建設やものづくりに興味はありましたが、資格の多くは社会人になって取得しました。だからこそ、今は自分が気になるもの、興味のある分野を思い切り深掘りしてほしいと思います。どんな経験も、夢中になって取り組んだ時間は必ず、将来の力になります。まずは、自分の「好き」を大切にしてください。そして、建設業界に興味がある人へ。
この業界は今、デジタル技術の活用が進み、大きく変化している業界の一つです。これまで培われてきた技術や経験を大切にしながら、新しい発想やデジタルの力を取り入れることで、さらに働きやすい未来をつくることができます。皆さんと一緒に、新しい建設現場の未来をつくっていける日を楽しみにしています。
※記事内容は、2026年8月取材時点のものです。