
福祉・介護分野の職業
介護福祉士
SOMPOケア株式会社
ケアコンダクター
熊谷 匡華さん
Profile
入社年
2022年
出身
埼玉県
大学時代専攻していた学部学科
福祉科(福祉高等学校)
今の職業を目指したきっかけ
中学生のとき、友人に誘われて参加した介護施設でのボランティア活動が、私の将来を大きく変えました。当時は「困っている人を助けたい」くらいの気持ちでしたが、ご利用者さまから「ありがとう」と言ってもらえたことがとても嬉しく、自然と「介護の仕事っていいな」と思うようになりました。祖母が認知症を患っていたこともあり、家族の役にも立ちたいという思いから、介護の道に進もうと決めました。資格がなくても働ける仕事ではありますが、しっかりとした知識と技術を身につけたいという思いから、福祉専門の高校に進学。そこは資格取得に強く、合格率が高かったことや、卒業後すぐに現場で働けることも魅力でした。
Q.仕事内容を教えてください。
サービス付き高齢者向け住宅で
さまざまなご利用者さまのお困りごとに対応
主に、ご利用者さまやそのご家族さまからのお困りごとの相談を受けて対応したり、必要があれば医療機関などとの連携を行ったりします。携帯電話の操作といった身近なお悩みから、生活の中での大きな課題まで幅広く対応しています。加えて、訪問介護事業所としての役割もあり、ご利用者さまのお宅へ伺って入浴や排泄のお手伝い、掃除や調理などの日常的なサポートもしています。ただし、すべてを代わりに行うのではなく、「できることは続けていただく」ことを大切にしています。介護は単なる手助けではなく、一人ひとりに合わせた生活の支援です。月に2回のカンファレンスでは、他のスタッフと意見を出し合い、より良いケアのための話し合いも行います。介護福祉士としての判断力やチームワークが求められる仕事ですが、ご利用者さまが安心して毎日を過ごせるように、日々努めています。

Voice!

介護の現場では、ICTの活用も進んでいます。私の職場では、スマホで記録をつけることで、情報共有がスムーズに。前の現場では、ミスト機能付きの入浴設備など、最新の機器にも触れてきました!
Note1
訪問介護ではお宅に直接伺い、その方の暮らしに寄り添ってサポート
たとえば入浴や排泄といった身体的な介助はもちろん、掃除や調理、洗濯などの家事援助も大切な業務です。ですが、無理に手伝うのではなく、「あともう少しでできそう」というところに寄り添い、自立した生活が続けられるようにお声かけを工夫します。ご自宅で過ごされるご利用者さまの多くは、これまでの生活スタイルを大切にされているので、その人らしさを尊重した支援が必要です。また、介護保険の範囲外で、通院の付き添いや理容店への同行など、自費でのサポートを行うこともあります。生活全体を見守る、大切な仕事です。
Note2
一人ひとりに合った支援を行うため、事前の情報収集と連携は欠かせない
私たち介護職員は医療の専門家ではないため、ご利用者さまの小さな体調の変化に気づくことや、他職員との情報共有がとても重要です。ケアマネジャーから共有される情報シートをしっかり読み込み、他のスタッフの記録にも目を通しておきます。援助中にも「普段と何か違うかな?」と意識しながら観察するようにしています。体調不良をうまく伝えられない方もいらっしゃるため、違和感に気づける力が必要です。特に私が担当している訪問介護では、一人で訪問するため、判断力も問われます。ご利用者さまにとってベストなケアを提供するために、月2回のカンファレンスでの意見交換や、医療機関との連携も欠かせません。チームでつながりながら支える介護を目指しています。
Q.1日のスケジュールは?
遅番の日の1日!
\スタート!/

10:45
出勤
遅番の場合は大体この時間に出勤します。出勤後はまず、他の職員と雑談を交えながら、その日の流れや情報を軽く確認し合います。

11:00
始業・申し送り
早番の職員から口頭でご利用者さまの体調や出来事などの申し送りを受け、記録もチェックします。
小さな変化も見逃さないように、情報共有がとても大切です。

11:20
訪問介護の援助開始
同じ建物内に暮らすご利用者さまのもとへ。
昼食時の移動や服薬の介助など、短時間で行うサポートが中心です。
1件あたり10分程度の援助でも、丁寧な対応を心がけています。

13:00
昼休憩
30分の休憩時間。ご利用者さまと同じ食事をいただきます。
一般的な家庭料理と変わらないメニューで、栄養バランスもばっちりです!

13:30
午後の訪問介護援助
午後は掃除や洗濯、入浴介助や調理など、幅広い援助を担当します。
1対1でじっくりと関わる時間が多く、ご利用者さまとの会話も楽しみのひとつです。近隣の住宅に自転車で訪問することもあります。

16:00
生活支援・事務作業
訪問が一段落したら、事務所に戻って事務作業。
電話や受付対応もしながら、必要な帳票や掲示物の作成などを行います。

17:00
夜勤職員への申し送り・休憩
夜勤担当の職員が出勤してくる時間帯。
ここで、ご利用者さまの様子や気になる点をしっかりと引き継ぎます。
申し送り後には、もう一度30分の休憩をとります。

18:00
夕方の援助
再び建物内のご利用者さまのもとへ。
夕食の移動、服薬の介助、就寝に向けたサポートなどを行います。
こちらも1件あたり10分〜20分と短めですが、1日を気持ちよく締めくくれるよう意識しています。

20:00
終業
その日の業務を終えて、必要があれば夜勤職員へ最終的な申し送りをしてから退勤します。
本日もお疲れさまでした!
Q.お仕事に必要なスキルは?

介護の仕事で一番大切なのは
相手のことを知ろうとする気持ち
お身体の状態だけでなく、その方がどんな人生を歩んできたのかを知ることで、より正しく、そして温かい介護につなげることができます。「介護職は誰でもできる」と言われることもありますが、私はそうは思いません。ただ身体を支えるだけでなく、その人らしさを大切にしながら関わるには、思いやりや観察力、コミュニケーション力が必要です。実際の現場では、どんなサポートが正解なのか常に悩みますが、まずは「やってみる」ことで見えてくるものがあります。たとえば、食事を残されるご利用者さまに対し、座って目線の高さを確認したことがきっかけで、器の使いづらさに気づき、変更したことで食事をとれるようになったことがありました。「間違っていたらどうしよう」と不安な気持ちもありましたが、試してみること、考えて動くことの大切さを実感しました。仲間と意見を出し合い、より良い方法を見つけていく力も、この仕事ではとても大切です。
Q.お仕事の魅力を教えてください。
人生の最期に寄り添うからこそ
誇りを持てる仕事です
私が介護の仕事に誇りを持っている理由のひとつに、前社長から聞いた「人生の最期に彩りを添える仕事」という言葉があります。ご利用者さまの多くは、高齢になり、病気や障害と向き合いながら生活を続けています。そんな中でも、住み慣れた場所や自分らしい生活を続けたいという思いは強く、その気持ちに寄り添えるのが介護職の魅力だと思っています。医療のように病気の治療はできませんが、「あなたに会えてよかった」「またお願いね」と言っていただけるような関わりができたときには、言葉にできないやりがいを感じます。ときにはご家族さまからも感謝の言葉をいただくことがあり、自分の存在が少しでも誰かの安心につながっていると実感できます。人との関わりを通じて、自分自身も成長できるのがこの仕事の面白さです。

高校生へメッセージ

介護職は若者も輝ける現場。あなたを必要としてくれる人が、きっといます!
介護の仕事に「きつい・汚い・危険」というイメージを持っている方もいるかもしれません。でも今は、ICTを活用したり、お一人おひとりに合わせた介護が当たり前になりつつあり、働きやすい環境が整っています。私の
職場では「変えていく・感動できる・価値ある」という“New 3K”を目指して日々取り組んでいます。介護の現場には、若い力が必要です。高校生の今、少しでも人の役に立ちたいと思ったなら、その気持ちを大切にしてください。
※記事内容は、2025年4月取材時点のものです。