語学・国際分野の職業
通訳
株式会社サイマル・インターナショナル
専属通訳者
野間口 蓮海さん
Profile![]()
契約年
2020年
出身
北海道
学生時代専攻していた学部学科
外国語学部 英語専攻科
今の職業を目指したきっかけ
学生時代は英語が得意科目だったので、将来は英語を使った仕事をしたいと考えていました。大学卒業後に入社した会社では、もともと翻訳業務に携わる予定だったのですが「通訳業務も担当してほしい」と言われ、通訳も担当することに。ところが、スピーキングに苦手意識があったこともあり、最初は全く歯が立ちませんでした。このままではいけないと思い、仕事をしながら通訳者養成校に通い始めました。通ううちに、講師の通訳パフォーマンスに感銘を受け、「自分もこんな風に通訳ができるようになりたい」と思うようになり、本格的に通訳者を目指しました。
Q.仕事内容を教えてください。
お客様の言葉を瞬時に訳出して
会議や会話を円滑に進めるサポート役
通訳には大きく分けて、話し手の発言を区切りながら、その都度交互に訳していく「逐次通訳」と、話し手の発言をほぼリアルタイムで訳していく「同時通訳」の2種類があります。私は主に、製造業や金融、IT企業、官公庁など、ほぼ毎日異なるお客様の仕事を担当していて、お客様の会議室でメモを取りながら逐次通訳をする日もあれば、ホテルの会場やイベント会場などで同時通訳する日もあり、業務内容は日によってさまざまです。最近では、オンライン会議に参加し、リモートで通訳を行うこともあります。
Voice!
「語学ができれば通訳ができる」と思われがちですが、内容を瞬時に理解しながら同時に訳出していくためには、専門的なテクニックやコツが欠かせません。
Note1
通訳の質を上げるため
言語以外の勉強も欠かさない
より相手にわかりやすく伝えるためには、お客様が話している内容をきちんと理解した上で訳出する必要があります。知識を持って通訳すれば、聞いている側も「この通訳者はきちんと内容を理解している」と安心してもらえるので、お客様の話をしっかり理解したうえで、自分の言葉で訳すように心がけています。私の場合は、金融やIT企業などのお客様が多く、損益計算書などの財務諸表や専門的な資料について説明しなければならない場面もあります。基礎知識をきちんと身につけるために、簿記や基本情報技術者試験の資格を取得しました。お客様によって扱う話題が異なるので、幅広くアンテナを張って知識を取り入れることが大切です。
Note2
オフィスや会議室だけでなく
アクティブな現場にも同行
通訳者というと、オフィスや会議室、最近ではリモートで通訳を行うイメージがあるかもしれませんが、実際には発電所や工事現場、山奥にある自然遺産など、さまざまな現場に伺う機会も多い仕事です。一番印象に残っているのは、電波塔の視察に同行したときのこと。ヘルメットを着けて一般の人は入れないエリアを歩き、はしごや階段を登って塔の上層部へ向かったことは、通訳をしていなかったらできない体験だと思います。普段は入れないような場所に行けるのも、この仕事の面白いところであり、大変なところでもありますね。
Q.1日のスケジュールは?
コミュニケーションの橋渡しをする1日!
\スタート!/
8:30
案件前の準備、待機
リモート通訳では技術的なトラブルが起こることも多いため、早めに待機して音声確認などを行います。
9:00
自宅からリモート通訳
私を含め3人体制で、同時通訳を行います。同時通訳はかなり集中力を使うので、15分ごとに交代しながら訳すことが多いです。
12:30
お昼休憩
昼食後は、集合時間前の30分から1時間前には次の仕事現場に到着するように心がけています。
13:30
お客様のオフィスで逐次通訳
メモを取りながら話の内容を記憶して、話者が一区切り話した後に訳出します。一般に同時通訳よりも簡単そうという印象を持たれがちですが、正確かつ分かりやすい逐次通訳を継続して行うのはとても難しいです。
19:00
終業
翌日以降の案件の会議資料が届いている場合は、終業前に資料を読み込んで用語集を作成します。資料がない場合も、当該分野の基礎知識や背景情報を調べてまとめておきます。本日もお疲れ様でした!
Q.お仕事に必要なスキルは?
どんな話もしっかり伝えられる
高い言語能力はマスト
通訳者としての訓練を受けるためにも、ある程度の語学力は必要です。学生のうちに、英語(あるいは自分が通訳したい外国語)のリーディング、リスニング、ライティング、スピーキングのすべてを、一定水準まで高めておくとよいと思います。また、英語だけでなく、仕事の場で通用する正しい日本語を使えるようにすることも大切です。和書・洋書問わず、さまざまなジャンルの本を幅広く読み、言語能力を磨いていってください。ちなみに、コミュニケーション能力の高さは通訳者にとってプラスの資質ではありますが、内向的な人が向いていないというわけではありません。通訳の仕事の根幹にあるのは「正確に聴くこと」と、「話者が伝えていようとしている意味を理解すること」です。より良い通訳ができるよう、コツコツと技術を磨き、積み重ねて努力できることが求められます。
Q.お仕事の魅力を教えてください。
“言葉の職人”として
言葉の橋渡しができる
通訳の魅力は、さまざまな分野のプロフェッショナルや専門家の間に立ち、言葉の橋渡しができることです。以前、大先輩が「通訳者は言葉の職人」とおっしゃっていたことがあるのですが、この仕事の魅力はまさにそこにあると思います。限られた時間の中で、話者が伝えようとしていることを瞬時に理解し、適切な言葉を紡いで伝える。そして、それが相手に上手く伝わったときは、パズルのピースがピタッとはまるような感覚があります。その瞬間が、とても面白いんです。そのために、資料の準備をしたり、事前に内容を理解して毎回本番に臨んだりと大変なこともありますが、ベストを尽くして結果を出せたときには、大きなやりがいを感じます。
高校生へメッセージ
自分が好きなことや得意なことの中から「これで生きていく」と思える進路を見つけて
自分が好きだと思うこと、得意だと思うこと、関心が持てそうだと思うことがあれば、ぜひその中から進路のヒントを探してみてください。私の場合は、「得意な英語を使った仕事をしたい」「帰国子女の友人に負けたくない」という思いから始まり、通訳者になりました。自分の中で、得意なものや好きなもの
を見つけたら、それに結びつく形で進路を考えていくのも良いかなと思います。自分の進路選択が正しいかどうかは、誰も保証してくれません。それでも覚悟を決めて「自分はこれで生きていく」と思える進路を皆さんが見つけられることを願っています。
※記事内容は、2026年3月取材時点のものです。