職業人図鑑_デザイン・芸術・写真分野_アートナビゲーター

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デザイン・芸術・写真分野の職業

アートナビゲーター

中村なかむら宏美ひろみさん

Profile

活動開始年
2006年

出身
埼玉県

学生時代専攻していた学部学科
芸術学部

Q.仕事内容を教えてください。

幅広いジャンルを横断し、
アートの魅力を伝える

主な仕事は、美術館で作品の見方を解説したり、美術史の講座で講師を務めたりすることです。解説では、旅行会社と契約し、1泊2日のバスツアーに同行して地方の美術館を巡る場合もあります。移動中のバスでは美術館が建てられた背景や作家の人生などをお話しし、現地では作品や美術館建築の見どころを解説します。解説員にもさまざまなスタイルがあると思いますが、私の場合は専門分野を一つに絞らず、日本美術や西洋美術、古代から現代まで、絵画・彫刻・建築といった多様な領域を横断しながらアートの魅力を伝えています。そのほか、アート関係のコラム執筆や、企業研修として作品を用いたワークショップを行うこともあります。

Voice!

voice

フランス語の資料を読むために、3〜4日に1回は早朝にフランス語のレッスンを受けています。実はフランス語は19歳の頃から学んでいるのですが、まだまだ勉強中です……。

Note1

参加者が自分の言葉で作品を考える時間にする

大切にしているのは、知識を一方的に伝えるのではなく、ツアーや講座の参加者が自分で作品について考え、言語化できる時間にすることです。その原点は、子どもたちが自由に現代美術を鑑賞するプロジェクトに参加した経験にあります。参加者同士が意見を交わしながら作品を見る「対話型鑑賞」の方法が、今の活動にも生きています。無理に発言を促すのではなく、参加者がどう見て、何を感じているのかを丁寧に観察し、誰もが安心して思ったこと・考えたことを話せる雰囲気づくりを大切にしています。

Note2

直感的な気づきを美術史の知識へつなげる

作品を見たときの感想を「思ったまま」で終わらせず、美術史の知識と結びつけることも重要です。例えば縦長の風景画を見て、「空が高いことを描きたかったのかな」と感じるかもしれません。これは専門知識がなくても思いつく“直感”ですが、実は美術史の研究でも同じ指摘がされているんです。まずは自分の感覚で作品を観察し、その直感的な気づきと専門的な知識を結びつけていく。そうすると、アートに詳しくない方でも作品をより深く楽しめるようになります。その接続がアートナビゲーターとしての腕の見せどころです。

Q.1日のスケジュールは?

オンライン講座がある日の1日!

1日の
\スタート!/

  9:00

オフィスでの作業開始

自宅兼オフィスで作業。美術書などを参考にしながら、パソコンで講座のスライド資料を作ったり、原稿を書いたりします。

10:00

オンライン講座(午前の部)

90分間のオンライン講座を実施します。参加者に向けて、美術史や作品の見方などを解説します。

12:00

お昼休憩

近所の散歩コースを歩いて気分転換をしたり、本を読んだりします。また、この時間を利用して美術館へ足を運ぶこともあります。

15:00

午後の作業開始

午後の仕事を再開します。オンラインでの打ち合わせなどが入ることもあります。

20:00

オンライン講座(午後の部)

日中仕事をしている方でも参加しやすいよう、夜の時間帯のオンライン講座を行います。本日もお疲れ様でした!

Q.お仕事に必要なスキルは?

「人を好きになること」と「好きな対象を見つけること」

美術史の知識などは後からでも学べます。高校生のうちに身につけておいてほしいのは、「人を好きになること」です。アートナビゲーターは、美術館や作家と、鑑賞者の間に立ち“橋渡し”をする仕事。相手の気持ちに寄り添い、何に興味を持っているのかを感じ取る力がとても大切になります。また、画家や彫刻家など、誰でもいいので「好きな対象を見つけること」も大事。そこから、その人が生きた時代や歴史、文化へと興味を広げていけば、知識の引き出しはどんどん増えていきます。

Q.お仕事の魅力を教えてください。

アートを通して、
人の感性を豊かにできる

参加者の方から「楽しかった」「作品を見るのが面白くなった」と言っていただける瞬間が、何よりのやりがいです。アート鑑賞は、ある意味で“自分探し”でもあります。ただ「きれい」「面白い」と思うだけでなく、「どこが好きなのか」「なぜそう感じるのか」を自分の言葉で考えていくと、人の感性や表現力は豊かになります。アートの力を通して、人が学び続けるきっかけをつくり、人生をより楽しくするお手伝いができることが、この仕事の魅力だと感じています。

※撮影は 、KUポートスクエア(神奈川大学みなとみらいエクステンションセンター)で実施。
※記事内容は、2026年3月取材時点のものです。