職業人図鑑_自動車・航空・船舶・鉄道・宇宙分野_航空管制官(国家公務員)

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自動車・航空・船舶・鉄道・宇宙分野の職業

航空管制官
(国家公務員)

国土交通省 東京航空局
成田空港事務所

出井 陽平つくい ようへいさん

Profile

入省年
2019年

出身
東京都

大学院時代専攻していた研究科
理工学研究科 工業化学専攻

Q.仕事内容を教えてください。

離着陸の順位づけ、経路や高度の指示を行う
「パイロットに安心を与える仕事」

私は、各空港にある管制塔から目視で航空機を捉え、離着陸の許可、飛行場の走行経路の指示を出す「飛行場管制業務」(空港を中心に約9km圏内の空域を担当)を行っています。航空管制官の業務としては他にも主に2種類あり、レーダーで航空機を捉え、他の航空機と安全な間隔を保ちながら上昇させたり、着陸順序を決定して針路や高度などを指示する「ターミナル・レーダー管制業務」(空港から約100km圏内を担当)と、日本の担当する空域において、レーダーで航空機を捉え、空港と空港の間を飛行する航空機に対して指示や許可を与える「航空路管制業務」(外国からの通過機にも情報を提供)などがあります。交通量が多い時間帯においては、出発機、到着機を同時進行で管制するため、自身の指示の言い間違えだけでなく、パイロットや他の管制官とのコミュニケーションエラーが起きないよう特に注意しています。

Voice!

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成田空港は国際線を中心に多数の航空機が離着陸しており、国際色豊かで様々な国のパイロットと英語でやり取りしています。定型的な管制用語のみならず、一般的な英会話能力も必要となります!

航空管制官になるまでの流れ

1

航空管制官採用試験

受験資格には大卒程度の学歴や年齢制限などがあります。

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2

航空保安大学校にて研修

採用後は、航空保安大学校(大阪府泉佐野市)で、座学やシミュレーターを使った基礎研修を8ヶ月にわたって受けます。

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3

空港・航空官署に赴任

修了後は、全国各地の空港や、東京・神戸・福岡にある航空交通管制部に配属されます。転勤(人事異動)は数年ごとに全国規模で行われます。異動の度に専門研修(実地訓練、座学)を行い、試験に合格すると業務に携わる資格を得られます。

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4

キャリアアップ

経験を積んだ後は、航空保安大学校等の教育機関、施策の企画立案に携わる国土交通本省や地方航空局、システムの開発や評価に携わるシステム開発評価・危機管理センターなど、様々な活躍の場が用意されています。

Q.1日のスケジュールは?

早番勤務の日の1日!

1日の
\スタート!/

  7:45

出勤

早番勤務の日はこの時刻に出勤します。ブリーフィング室にて、メールや当日の気象情報の確認、運用連絡などを行います。

  8:00

管制塔に上番

様々な国籍のパイロットとのコミュニケーションに神経を使う仕事なので、業務に伴う疲労を管理する基準及びシステムが導入されています。そのため、勤務間インターバルや業務の交替間隔などが、学校の時間割のようにきっちり定められています。

11:45

昼休憩

前述のように業務間インターバルが定められているので、日によって時間は異なります。

12:15

管制業務

引き続き、管制業務を行います。

14:00

遅番勤務チームと交替

ブリーフィング室に戻り、その日の振り返りをチームで実施。各協会の会議に向けた資料作りなどの事務作業、シミュレーター訓練などを行うこともあります。

16:00

終業

本日もお疲れ様でした!

Q.お仕事に必要なスキルは?

高速飛行するたくさんの飛行機を
安全に処理するにはチームワークが不可欠

状況を素直に認識できる人や、先入観を持たずに他者とコミュニケーションを図れる人が向いていると思います。すべての航空機が順調に離陸・着陸すれば良いですが、途中トラブルが生じて航空管制官として対処しなければならない状況に遭遇することはあります。そういう時こそ、個人ではなく他の航空管制官やパイロット、他機関の方とのチームワークで解決する必要性を強く感じます。また、どのような学問でも学んでおけば何かしら役に立つとは思いますが、強いていえば、空港や航空機、天気に関することや語学を学んでおくと良いかと思います。何か一つでも興味があればこの仕事に就いた後も、楽しんで自己研鑽ができると思います。私の場合、グローバルな環境で仕事ができることに充実感を感じています。外国人パイロットとの通信の最後に日本語でお礼を言ってくれると嬉しくなりますし、「こんな国とも直行便で繋がっているんだ」と日々新しい発見もあり、毎日を楽しんでいます。

Q.お仕事の魅力を教えてください。

天候・交通量に合わせて的確な管制処理が求められるのが難しくもあり醍醐味でもある

安全が大前提のため、常に緊張感がある一方で、その日一日を無事に終えた時に大きなやりがいを感じます。ある日、空港に落雷警報が発令され、グランドハンドリングスタッフ(出発機を駐機スポットから移動させる人)が被雷を回避するために退避を余儀なくされ、駐機スポット上の出発機の移動が長時間ストップしてしまいました。これから降りてくる多数の到着機に割り当てるための駐機スポットが無くなる状況となり、出発機で埋まったままの状態が続き、誘導路に到着機があふれることが予想されました。当時、地上管制席を担っていた私はその状況を予想して、他の管制官や他機関との連携により、空港場面の空いたスペースへ着陸してきた到着機を誘導することで誘導路の混雑を回避することができました。通常とは異なる状況を認識して次に起こることを予想し、他者と協力して解決に向かう行動ができた経験でした。

※記事内容は、2025年1月取材時点のものです。