職業人図鑑_環境・自然・バイオ分野分野_林野庁職員(森林官)

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環境・自然・バイオ分野の職業

林野庁職員(森林官*)

林野庁 関東森林管理局
東京神奈川森林管理署
高尾森林事務所

荒井 亮一あらい りょういちさん

Profile

入庁年
2018年

出身
大阪府

学生時代専攻していた学部学科
応用生物科学研究科 生産環境科学専攻

Q.仕事内容を教えてください。

森と登山者の安全を守るために
多様な業務をこなします

森林官の仕事は、ただ森を見守るだけではありません。事務作業から現場での業務まで、多岐にわたる役割を担っています。現場では国有林の巡視、林道や境界の点検、貸付地が適切に利用されているかの確認などを行います。森林調査では、木の収穫予定量や被害量の調査、病気の原因となる虫の発生状況のチェックなどを実施します。近年増えている「ナラ枯れ」と呼ばれる樹木の病気によって枯れた木は伐採することが必要です。また、森林内で進められる請負事業の監督も行い、安全指導や進捗管理に携わります。事務所では非常勤職員の出勤管理や作業指示を行うほか、調査結果や作業の成果を報告書にまとめる作業を行います。高尾森林事務所の担当するエリアは、高尾山など八王子市内の国有林で、必要に応じて神奈川県平塚市の本署にも月に一度ほど訪れます。

Voice!

voice

日本の森林の約3割は国有林であり、残りは自治体や個人などが管理しています。森林官はその貴重な国有林を守るため、日々現場と向き合いながら働いています!

Note1

より良い木材を育てるための重要な森林調査

森林をより健全に管理していくために行う「森林調査」は、国有林管理の重要な仕事の一つです。例えば、樹木の育成や収穫を目的にする森林では、木を大きく育てるために間伐が必要ないかを確認したりします。木は、長い年月をかけて育っていくので、より良い木材を収穫するには、5〜10年後にどのような手入れをすれば良いかを日々考えながら巡視、調査、計画をしています。

Note2

国有林の状況や登山道・林道を細かくチェック

日々、国有林が適切な状況にあるか、適切に利用されているかを確認する「国有林内の巡視」も重要な業務の一つです。登山道に倒木が無いか、林道が壊れていないか、枯れている木が無いか、不正に森林が利用されていないかなどを確認しています。現場出張の際は、このような被害や災害が起こっていないかを常に意識しながら業務に取り組んでいます。

Q.1日のスケジュールは?

現場出張がある日の1日!

1日の
\スタート!/

  8:20

出勤

普段は始業の10分前にはデスクに着くようにしています。

  8:30

始業

まずはメールチェックから行います。本署からの作業依頼や外部関係者からの現地確認依頼などの内容を確認します。

  9:00

現場へ出張、森林調査

森林被害の調査を行うために、現場に向かいます。現場では、登山道や山の中を歩いて、被害木が無いかなどの調査を行います。

12:00

お昼休憩

現場出張の際は、山の中でお弁当を食べます。自然の中での食事はとても気持ちが良いです!

13:00

森林調査

午前に引き続き調査を行います。怪我をしないように足元に注意して、水分を取りながら作業を進めます。

15:00

事務所へ帰所

現場での調査成果をまとめ、本署へ提出する報告書類を作成します。

17:15

終業

本日もお疲れ様でした!

Q.お仕事に必要なスキルは?

自然が好きなのはもちろん
体力と判断力がカギ!

森林官の仕事は、まず現場へ行き、実際の状況を確認することから始まります。事務所にいては何も分かりません。山道を何時間も歩いたり、急な斜面を登ったりすることもあるため、体力は必須です。趣味を兼ねて、休日に登山をして体を鍛える職員も多いです。また、地元の方や関係業者から連絡を受け、災害につながるような事態が起きていないか迅速に確認し、適切な対応をとる判断力も求められます。さらに、植物の種類を見分ける力や測量の技術があると、より仕事に生かせます。これらのスキルは入庁後に学ぶことも可能です。森林官には、自然が好きな人や田舎で働きたい人が向いていると思います。山と向き合いながら働くこの仕事は、自然を愛し、体を動かすことが好きな人にぴったりですよ。

Q.お仕事の魅力を教えてください。

自然の中で働きながら
学んできた知識が生かせる

森林官の仕事の魅力は、公務員でありながら自然の中で働けることです。異動があるため、日本各地の山々に関わることができ、現在は世界一登山者数が多いと言われる高尾山の管理を担当しています。多くの登山者が山を楽しんでいる様子を見ると「安全で癒される空間を提供している」と実感でき、大きなやりがいにつながります。以前、登山道沿いの枯れ枝を職員で協力して切り落とした際に、見ていた登山客から拍手をもらったことがありました。ささやかな交流でしたが、「登山者の安全を守った」と実感できた瞬間でした。また、木を伐採し、新たな苗木を植える現場の監督をする時には「森づくりの最前線に立っている」と感じます。一方で、森林官は一つの事務所に一人の配置となるため、業務の優先順位を考えながらタスク管理をする必要があります。さらに、林野庁職員は国家公務員であるため、異動によって森林とは直接関係のない総務や経理などの業務を担当することもあると覚悟しておく必要があります。しかし、幅広いスキルを身につける機会と捉えれば、これもやりがいの一つです。

※記事内容は、2025年1月取材時点のものです。