マスコミ・芸能・アニメ・声優・漫画分野の職業
アシスタントディレクター(AD)
株式会社シオプロ
上久保 凜さん
Profile![]()
入社年
2023年
出身
高知県
学生時代専攻していた学部学科
法学部 法学科
今の職業を目指したきっかけ
中高生の頃は国際協力に関心があり、国際問題にまつわる報道記者や、ソーシャルビジネスを行う民間企業、開発コンサルタント事業を行う企業への就職を漠然と考えていました。そのため、高校も英語科を受験し、海外研修や国際シンポジウムに参加したり、自分の希望する進路につながりそうなことに色々と挑戦したりしていました。ですが、大学進学を機に一人暮らしを始めて1人の時間が増え、テレビを観たりラジオを聴き始めたことをきっかけに方向転換。次回が待ち遠しくて仕方がないくらい好きなお笑い番組ができたことが大きな転機になったと思います。単純に「収録現場が楽しそうだな」「この人と仕事をしてみたい」「自分が番組を作るならこういう企画をやりたい」という、好きの延長線上にある好奇心や欲求でテレビ業界を目指すようになりました。番組作りにどっぷり携わりたかったので、就職先はテレビ局ではなく番組制作会社に絞っていました!
Q.仕事内容を教えてください。
ディレクターの補助をはじめとした
様々な業務を担っている
アシスタントディレクター(以下、AD)の担当する業務は、会議の日程調整、会議資料の整理・作成、議事録作成、収録の準備、スタジオ収録撮影、出演者のリサーチ、収録データの整理、編集所への同行、本編予告編集等……とても多岐に渡ります。今担当している番組は基本的にはスタジオ収録だけですが、以前担当していた番組では、ロケ撮影(それに伴うロケ先の仕込みや機材準備)も行っていました。その中でも、地味ですが関係各所への連絡業務は重要度が高いと思います。番組収録を円滑に回すためにADが中継役となり、ディレクターやプロデューサー、技術、美術、時には外部の方々と連絡を取ります。ちょっとした内容であっても、不正確な情報を伝えてしまったり、報告漏れがあると企画の進捗具合に影響したり、最悪の場合はトラブルに発展する可能性もあります。ADが連絡業務を怠らず、きちんとこなせるかどうかで、収録の出来が左右されることもあるので、そういう意味では番組の根幹に関わる大事な業務だと思います。
Voice!
当社が制作に携わっている番組は、お笑い系の番組が多いので、必然とお笑いが好きな社員が多く集まっています。そのため、M-1グランプリやキングオブコントなどの大きな賞レースは、事務所の大きなテレビやパソコンの画面で社員みんなで視聴することが多いです!
Note1
帰れないぐらい毎日忙しい
……というのは過去のお話!
「休みが少ない」と思われがちな業界ですが、想像よりも休めているというところが一番のギャップでした。会社や番組の方針によって様々だとは思いますが、比較的忙しくない時期であれば、午後から出社する日や在宅ワークの日も多いです。昔は「毎日深夜まで作業して家に帰れない」ということが業界全体でよくあったと聞きますが、そのような体制の番組のほうが少ない気がします。ただ、年に何回かある特番の時期は、通常のレギュラー放送も並行して撮らなければならないので、夜遅くまで作業せざるを得ない時もあります。また、つい華やかな業務ばかりを想像して、自分が掲げていた理想と実務の差に苦しんでしまう人は結構多いと思います。日々の業務は基本的に地味なものが多いうえに、すぐに裁量の大きい仕事ができるというわけではないので、そのギャップがあるという覚悟は多少必要です!
Note2
当日の理想のスケジュールを
まず最初にまとめます
タスク管理がうまくできていない時に、報告漏れなどの失敗が起こりやすいと思うので、私は、1日の始まりに自分が抱えている作業を整理整頓することにしています。最初に、自分の理想のスケジュール(優先順位が高いものは午前に入れ込む)を作り、そこへあらかじめ確認事項や連絡が発生しそうな事項をまとめておきます。そこから、会議などで新たに確認が必要になった場合はその事項を赤文字で追記するようにして、後でそのメモを見れば、その日やるべき事が一目でわかるようにしています。また、制作内容に関わる重要な部分は、細かいニュアンスも間違えたくないので、なるべくその人が言った言葉をそのまま伝えられるように意識しています。
Q.1日のスケジュールは?
スタジオ収録がある日の1日!
\スタート!/
9:30
出社、収録スタジオへ移動
前日までに準備していた台本・カンペ等、収録に必要なものを持ってスタジオへ移動します。到着後は、技術との打ち合わせ。カメラ位置の確認やその他必要な準備を行います。
11:00
演者打ち合わせ同行
ディレクターが演者さんとの打ち合わせに行くので、それに同行してディレクターの補助を行います。
11:30
場当たり
本番の立ち位置・座り位置、収録中に入れ込む小道具等を演者さんと確認します。芝居企画だとリハーサルも行います。また、空いたタイミングで適当に昼食をとります。時間は日によってまちまちです。
12:00
収録開始
ディレクターの補助、カンペ出し、小道具の出し・ハケ(別の場所に避ける)やセットチェンジの補助を行います。どの番組も1日で複数回撮影することが多く、私の担当番組も数本まとめて収録しています。
17:00
収録終了・片付け
収録現場の片付けをします。編集の相談があればディレクターに確認し、次回の収録についての相談等も行います。
18:00
終業
収録内容によって時間はまちまちですが、収録で使用したものの片付け、借りた機材の返却手続きが終わったら退社します。本日もお疲れ様でした!
Q.お仕事に必要なスキルは?
世間で今流行っていること
あらゆるエンタメに触れておこう
精神的にも肉体的にもタフな人がこの職業に向いていると思います。休みが少ないわけではないですが、ある程度不規則な勤務体制ではあるので忍耐力は必要だと感じます。個人的には、学生のうちに専門知識を身につけたり、現場経験を積んだりする必要はそこまでないと思っています。私自身、法学部出身で、映像編集ソフトは全く触ったことがなかったのですが、入社してからでも必要なスキルは身につけられるので、できるに越したことはないですが、学生が学ぶべきこととしての優先度は低いと思います。それよりも、様々なエンタメや世間の流行を知っておくことのほうが役に立つ場面が多いです。若手のADという立ち位置だと、歳の離れたディレクターやプロデューサーから「今の若い子が今好きなもの・流行っているもの」の情報源のひとつとして、企画内容を考える際に意見を求められることがあります。そういう時に、ハッキリと言語化して伝えられるADが重宝されるので、色々なカルチャーの知識を深めて、自分の好きなモノを突き詰めておくことのほうが得策だと思います。
Q.お仕事の魅力を教えてください。
現場の技術・美術さんが
大笑いしていると「よしっ!」と思える
テレビに出ている有名人に実際に会えるのは、この業界で働く人の特権です。配属される番組にもよりますが、運が良ければ自分が憧れている人に会うこともできますし、そういった動機でこの仕事を目指す人も多いと思います。やりがいを感じる時は、収録が盛り上がった時です。制作スタッフは内容を理解していて次の展開や笑うポイントが大体予想できるため、よっぽどのことがない限り収録がどう転んでも笑えてしまうのですが、詳細を知らない技術さんや美術さんが大笑いしている時は特に嬉しいです。また、担当番組で初めて企画を持った際、その企画に合うような演者がなかなか見つけられずキャスティングに難航したことがありました。とにかく時間をかけて過去映像を見たりリサーチを続けて「この人はこういうエピソードがあって、上手くいくと思うのですがどうでしょうか?」と、ある人をディレクターに提案したところ、実際に意見が採用されました。その企画の収録も盛り上がり、その後もその人がメインの企画も何回か行われるようになりました。視聴者の方からすれば一企画の一キャスティングに過ぎないかもしれませんが、素直に頑張ってよかったなと思いました。
高校生へメッセージ
将来性がないからといって自分の夢を諦める理由にはならない!
大学時代、この業界を目指すことを周りに話すと「斜陽産業だから」と、家族や先生に考え直すように言われることがありました。ですが、テレビ業界に限らず、どんな職業を目指すにあたっても、そんなつまらない理由だけで将来の選択肢を減らす必要はないと思います。せっかくなら、自分が熱中できるモノや心踊る気持ちを大切に、今はとにかく色ん
なことに挑戦して自分の可能性の幅を広げてみてほしいです。国際協力に関心があった時代は、将来はテレビ業界にいることを私も全く想像していませんでした(笑)。ただ、そういう思い切った方向転換ができるのも若いうちだと思うので、なんでもできる高校生の期間にたくさん挑戦してほしいです。
※記事内容は、2024年11月取材時点のものです。