【医療保健科学部 リハビリテーション学科 作業療法学専攻/人間科学部 作業療法学科】
■課題解決に挑む学問
医学・歯学・薬学・看護・リハビリ>>リハビリテーション・作業療法・理学療法
■該当するテーマ
豊かな暮らし
人生100年時代に役立つ、予防的リハビリテーションの取り組み
リハビリテーションと聞くと、ケガや病気によって身体機能や日常生活が失われた人を回復させる訓練をイメージする人が多いことでしょう。「近年は病気やケガを前もって防ぐ、予防的リハビリテーションが重視されるようになっています」と金子先生は話します。「人間の体は運動不足が続くと、筋肉が衰えたり関節が硬くなります。それが内臓機能や体力が落ちる原因となり、ケガや病気になるリスクを高めるのです」。世界保健機関(WHO)が発表した「世界保健統計2024年版」によると日本人の平均寿命は男性が82.39歳、女性は87.16歳、健康寿命は男性が71.93歳、女性が74.4歳でした。平均寿命と健康寿命の差が男性は10.46歳、女性は12.35歳もあるのです。「この年数の差は、不健康な生活を送る期間を指します。医療費の負担増や生活の質が低下するなどの問題を防ぐ意味でも、予防的リハビリテーションの取り組みは大切です」。
運動器疾患や生活習慣病と姿勢の悪さの関連について研究する理由
金子先生の研究テーマの一つに「生活習慣病と体幹機能の関係」があります。
日々の食事や運動、休養、喫煙、飲酒などの積み重ねによって発症する生活習慣病の原因として、姿勢の悪さが上げられるのではないかと仮説を立てています。
「パソコンやスマートフォンなどを利用するにあたり、背中を丸めるといった不良姿勢になっている人が多いです。姿勢が悪いまま長時間にわたって情報機器を使用することで肩甲骨や関節の位置が悪くなり、運動器疾患や生活習慣病を助長している患者さんが増えているのです」と金子先生は言います。さらに良い姿勢を保つうえで重要なのは体幹にあると考え、ピラティスを含めた運動療法を用いて、運動器疾患の改善や予防についても研究を進めています。「体幹機能の改善が運動器疾患や生活習慣病の予防につながれば、健康寿命を延ばせるかもしれません。医療費や介護費用の削減にも役立つのではないかと期待しています」。
自分の好きな領域を活かし、患者さんと自分を幸せにする
作業療法士は心身の機能回復である医療分野から、患者さんの生活支援に代表される福祉分野までトータルに支援する仕事です。病気やケガを治す急性期、身体機能の快方と日常生活に必要な動作の改善を目指す回復期、生活をサポートする維持期と患者さんの状態は移行します。「どの段階においても作業療法士が関わることで変化が起こり、それが患者さんの幸せにつながります」と金子先生は話します。「作業療法分野は、一人ひとりの“好き”が仕事になる領域です。
それがゲームでも料理でも音楽でもかまいません。自分の好きなことが活かされ、作業療法を受ける対象者だけではなく、自分自身の人生も豊かにしてくれる仕事なのです」。金子先生は学生に教えるうえで、体験ファーストであることを大切にしています。「私が経験してきた臨床の実践を学生に体験してもらい、学問への好奇心を高めるとともに、作業療法の楽しさを伝えていきたいと思っています」。
【医療保健科学部 リハビリテーション学科 理学療法学専攻/人間科学部 理学療法学科】
運動器の専門理学療法士でもある高田先生は現在、地域の高齢者を対象に靴のインソールがバランス能力に与える効果について研究しています。バランス能力とは静止したり動いたりしている時に姿勢を保つ、または不安定な体勢から速やかに回復させる能力のことです。「地域で行う公開講座では参加した高齢者の方に片足で立っていただき、バランスを見たうえでフラフラしないように、学生とともにインソールを調整しています」と高田先生は言います。「普段の生活スタイルや姿勢、歩き方のクセにより、足の裏に体重がうまくかからないことが、フラフラする原因です。一人ひとりに合うように足の裏にゴム板を貼ることで、バランスが改善されます」。難聴があり20年片足立ちができなかった人に合うインソールを提供したところ、できるようになったケースもあったそうです。「インソールを活用することで、良い姿勢を保てるようになります」と高田先生は話します。
高田先生は整形外科で実際に患者さんと関わる機会も多いですが、「子どもの世話にはならない」と話す高齢者と多く出会ったそうです。「高齢者が自立して暮らすためには、動ける体である必要があります。しかし実際には膝や腰に痛みを感じ、歩く機会が減っている患者さんも少なくありません。関節の動きなども確認しながら体が安定するようにインソールを作製し、それを使って動けると思ってもらうことが大切なのです」と、高田先生は強調します。「インソールを活用することで歩行や動きが変わるだけでなく、気持ちが若返ったり明日の希望が持てたりすることも、健康寿命を延ばすうえで重要なことです。世界を見ても平均寿命は延びていても、健康寿命は比例して長くなっているわけではありません。インソールが健康寿命を延ばす一端を担えるよう今後も研究を続け、理学療法士にできる社会貢献を実践し続けたいと考えています」。
高田先生は陸上選手をはじめとするトップアスリートにも、オーダーメイドインソールを作製・提供しています。「アスリートは足を大切にしていますが、インソールを用いて軸足を安定させることでパフォーマンスが上がった実績が多々あります」。
【人間科学部 健康栄養学科】
バラ目バラ科に分類されるアロニアは耐寒性と耐熱性に優れており、生産量は北海道が国内No.1
伊達市の給食センターでは、アロニアごはんが提供されています。「白米にアロニアを混ぜて炊くとモチモチした食感と、フルーティーな酸味が感じられる味になります」。しかし白米に慣れているため、見慣れないごはんには手をつけない児童も少なくなかったそうです。そこで2024年度の小塚先生のゼミでは、アロニアを使ったカップケーキ作りに挑戦。「アロニアの体によい成分は残しつつ、酸味や渋味を抑えておいしくするための加工条件について調べることから始めました」と、小塚先生は振り返ります。果汁の量によってカップケーキの膨らみ方が変わったり、色味をよくするために配合するベイキングパウダーの量やpHを調整したりと、試行錯誤をくり返したそうです。「食べたくなるカップケーキを作るためには、見栄えを良くすることも大切です。何種類もの試作品を作り、『風味』『香り』『見た目』の3項目を5段階で評価し、果汁や香料の添加量を割り出しました」。
アロニア果汁を使った食品は、一般的なレシピで使ったものより血糖値が上昇しにくくなります。アロニアが持つさまざまな機能性により、糖尿病や高血圧に悩む人でも安心して食べられる食品ができる可能性も高いです。「先輩の研究を活かして、新4年生はアロニアを使ったお菓子を試作販売する予定です。研究成果は出るまでには時間がかかるので、先輩の検証結果を参考に、後輩がブラッシュアップする流れができることを期待しています」。またアロニアを使った商品がヒットすることは、地域の活性化にもつながるかもしれません。「アロニアの生産農家も高齢化が進み、後継者問題が深刻化しています。アロニアを活用した商品を地域の特産品にできれば、生産に興味を持ち、農家を受け継ごうと思う人が出てくる可能性もあります。新しいものを作ってみたいと考える人たちと、今後も地域に役立つ研究を続けていきたいです」と、小塚先生は話してくれました。