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現代日本の教育課題に教育史の窓から光を当て、次世代へとつなげていく

【教育探究科学群 佐藤 高樹准教授】

■課題解決に挑む学問
教育・保育>>教育学
■該当するテーマ
豊かな暮らし

教育の現場に、専門的自律性と学びの面白さを取り戻すために

佐藤先生の専門領域は、古代から現代に至る日本教育の変遷をたどり、教育のあり方や教育実践の実態に迫る「日本教育史」。特に、戦前の大正~昭和戦前期に注目し研究を進めると同時に、民間教育研究団体に参加し教育雑誌の編集にも関わっています。それら活動の中で佐藤先生が重要な社会問題として挙げるのが、教育現場における「縛り」の多さ。「授業手法や生活指導のルール・学校スタンダードをはじめさまざまな規律によって管理・統制する動きは、多様性を育むと言いながらも、教師からは子どもの発達に関わる専門性を、子どもからは学びの面白さを奪うことになりかねません」。“なぜ、何のために、子どもたちに対してこのやり方を採用するのか”を問う姿勢が不可欠であり、主体性がないように見えたり問題行動を起こしてしまう子どもの背景にもしっかりと目を向けながら、つねに教育のあり方を見直し続ける姿勢こそが現代教育に求められていると考えます。

地域に根ざした教育への歴史的アプローチから見えてくるもの

その課題を解決するために、地域を対象に教育会が発行していた機関誌に着目。「学校教員による論説や実践記録、教育研究の活動記録などから、地域の教育現場での動きや地域の実情に即した教育への問題意識が、より顕著に見えてくる」と言います。「その地域社会に生きた教師たちには自身の教育実践を貫く哲学や思想があり、子どもの背景にある地域社会に問いかけていこうとする問題意識がありました。今日の教育現場でも同様、トップダウンで決めた教育施策ではなく、教師の専門的自律性を尊重し、地域の学校や子どもの実情に配慮した教育活動を多面的に展開していくことが必要です」。学校教育のICT化が加速する現代ですが、オンライン等では見えてこない身近な地域の教材を通して、“地肌”で感じる学びを重視した過去の歴史を振り返るのが、佐藤先生の課題へのアプローチ。「教育の歴史を読み解けば、現代の教育に多くの示唆をもたらすはずです」。

歴史探究のスタンスで、現代社会の課題を読み解いていく

「アクティブ・ラーニングや探究学習にしても、社会認識と切り結ぼうとする問題意識がなければ、真に効果的・持続的な教育実践にはなり得ない」と佐藤先生は言います。連綿と続く教育の歴史の中から教師たちの想いをすくい出し、その想いに連なっている現在の教師を励まし支えていくことが、佐藤先生が今後も取り組んでいきたいテーマです。「歴史とは、現代と過去との間の尽きることを知らぬ対話」というE.H.カーの言葉のように、現代の教育課題に関心や疑問を抱くからこそ、その問題意識のもと過去に目を向けた時、今まで光が当たってこなかった歴史の事実が浮かび上がってきます。たとえ対象が古くても、議論に必要なツールとして歴史が立ち上がってくることは必ずあるもの。ネット上に情報があふれ、フェイクニュースが増殖する現代だからこそ、確かな根拠となるように読み解き、位置づけていくという歴史探究のスタンスを、一緒に学んでいきましょう。

  • 学校ID.GK000112
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