【ブライダル科】
■課題解決に挑む学問
社会学・マスコミ・観光>>観光学
■該当するテーマ
豊かな暮らし
国分寺市民に愛される場づくりを目指して
シヴィルウエディング(Civil Wedding)とは、直訳すると「市民結婚式」。宗教にとらわれず、法律上の婚姻の成立に重きをおいた挙式スタイルで、欧米では婚姻届に署名をすること自体が重要なセレモニーとなっています。
国分寺市と総合学院テクノスカレッジでは、地域活性化包括連携協定に基づく事業としてこの市民結婚式を「国分寺シヴィルマリッジ」と称して、ブライダル科の学生が主体となってプロデュースするオリジナルスタイルを2022年から展開。企業や自治体と連携しながら課題解決に向けた企画提案などを、学科横断で行うプロジェクト型授業「TECHNOSゼミ」の一環でもある「市民結婚式」を通して、学生たちが模擬ではない、責任を伴う「仕事」に挑んでいます。
国分寺市民とともに祝う「シヴィルマリッジ」
会場となるcocobunji プラザは「国分寺市の魅力を発掘・発信する まちのぶんかターミナル」、国分寺市所有の複合施設です。多目的に活用できるホールもあり、国分寺市民に愛される場づくりを目的としたプロモーションの一環として、国分寺市もこのシヴィルマリッジを支援しています。国分寺市役所が主催で、挙式を希望するカップルを毎年募集。厳正なる抽選の結果、昨年はコロナ禍で挙式がかなわなかった1組のご夫婦が当選されました。開催に向けて、学生たちは国分寺市役所職員や、お2人と打ち合わせを重ね、心を込めたおもてなしの演出をプランニングしました。会場設営もすべて学生がプロデュースし、演出は勿論空間コーディネート、ドレス選びやヘアーメイク、ブーケ&ブートニア、司会やアテンドに至るまで、心温まる結婚式を実現しました。ご親族はもちろん、その場に居合わせた市民の方々、そして参列された国分寺市長にも大変な好評を得ることができました。
「人を喜ばせたい」と思う優しい人は、ブライダル業界に向いている
ご夫婦は、国分寺市内の名所で「ロケーションフォト」も行なっており、国分寺市では2025年市政60周年ということで、このシヴィルマリッジは、市の魅力をPRする広報ツールにも掲載されました。その前撮りの衣装やヘアーメイク、撮影も、学生たちが中心となって行いました。「結婚式をオープンにすることで、少子化で減少傾向にある結婚式のPRにもつながり、一生に一度という結婚式の重みを在学中に経験できたこと、そして何よりお2人に「あなた達にお願いしてよかった」と言って頂けたことは、学生たちにとって大きな自信につながりました。誰かの役に立ちたい、喜んでもらいたいという優しい心を持った人がブライダル人材に向いています。来年もまた素敵な結婚式を学生たちとともに開催していきたいです」と担当の小森先生は語ります。これからも愛される人材の育成と業界の発展を目指してブライダル科のシヴィルマリッジは来年も開催される予定です。

【鉄道交通科】
私たちの日常生活に欠かすことができない鉄道。より一層の便利さと安全さを実現するため、各企業がさまざまな努力と工夫を重ねています。しかし少子高齢化と人口減少が進む現代の社会では、必然的に鉄道利用者の数も減ってしまいます。コロナ禍に伴って普及したリモートワークも、通勤客の足を鉄道から遠ざけてしまいました。このような状況のなか、鉄道各社は「沿線価値の向上」に解決策を求めようとしています。鉄道会社は新しいライフスタイルを牽引する役割を果たすべく、利用者目線に寄り添う施策に力を入れています。その取組の一つが、地域に根ざしたパートナー企業との連携です。電車運転シミュレータの運転体験は鉄道会社のイベントや系列ホテルのコンセプトルームで導入されており、鉄道会社に愛着を持っていただくきっかけ作りとして成果が出ています。鉄道交通科の濱崎勝明先生は、業界の動向について教えてくれます。
本学には複数学科で課題解決に取組む文化と環境が揃っています。東京エアトラベル・ホテル専門学校の最寄り駅の1つは京王線府中駅。そのような背景もあり、京王電鉄にゼミを通じた産学連携を提案。可搬型シミュレータの製作が実現しました。初心者に親しみやすく、プロの運転士の繊細な操作を体験できるシミュレータのコンセプトに沿って、鉄道交通科を中心に学科を超えたメンバーが協力。プログラム本体はプロが担当しましたが、運転席での撮影、アフレコ音声の収録、動作チェック、声の出演など全ての製作現場に学生が関わりました。
完成した「京王トレインシミュレータ」は、京王線新宿駅から高尾山口駅までの下り線が体験路線区間。画面には実際の車両で撮影した映像が映し出され、運転士と同じ目線で運転体験ができます。京王線のATC装置が実車同様に実装され、初心者向けモードから、実際の運転士同様の操作体験が可能なマスターモードまで、3段階の難易度が用意されています。完成したシミュレータは、京王プラザホテル八王子のコンセプトルームとKEIO eSPORTS LAB.CHOFUで体験が可能です。このほか、沿線で行われたイベント会場では、鉄道交通科の学生がシミュレータのインストラクター役を務め、累計400名以上のお客様に体験していただくことができました。濱崎先生は、「シミュレータに触れたみなさんが喜んでくださる姿は、学生1人1人にとっての『原点』になるはずです」と、プロジェクトの成果を語りました。
【ホテル科】
他の業界と同じようにホテル・観光業界でも、「環境に優しい取り組みをしているホテルに泊まりたい」といった「エシカル消費」と呼ばれる消費スタイルが広がっています。インバウンドが成長産業として期待される一方で、過剰な混雑などが生じるオーバーツーリズムが課題になっているなか、持続可能な観光の重要性が高まっています。
提案に向けて学生は、「ロイヤルパークホテル(東京・日本橋)」を訪問し、食事をはじめとしたサービスを体験。これまでにホテルが行ってきたSDGsの取り組みについて話を聞くとともに、「街と、もてなす。」という会社のValueについても説明を受けました。そのうえで、他のホテルや他業界まで含めてリサーチを行いました。今回のプロジェクトは授業の一貫ですが、学生には「これは授業ではなくビジネスです」と繰り返し伝えていました。ビジネスでは期限を厳守し、メンバーそれぞれが役割をしっかりと果たすことが求められます。費用をはじめとした、実現可能性という視点も重要です。理想と現実の両方を見つめるというバランスの取り方が非常に難しいポイントの1つでしたが、こういった過程を経ることで学生は、自身の得意・不得意を客観的に見つめたり、チームで活動するうえでの責任感や協調性を養うことができました。
さまざまな案が持ち上がり、リサーチや議論を経て最終的に3つの案が提案されることになりました。その中の1つは、ホテルで出るロスフラワーに注目。宴会場で用いられる花を再利用してドライフラワードレスを作るフォトウェディングを提案しました。結婚式を検討している人だけでなく、これまでにホテルで結婚式を挙げた人の絆を確かめあうセレモニーを提案することで、環境への配慮とホテルへの愛着向上に貢献するという、これまでにないアイデアになりました。