Theme 02

その力をどうやって身につけるの?How to acquire power

高橋:
さあ、主体性やチームで働く力、課題を見つけ乗り越える力など、
これからの社会で求められる力がどうやって身につくのか。
次は、その秘密について伺ってもいいですか?
紺野:
在学中は実習がすごく多かったのですが、
実習ではチームの中で自分がどんな役割をすべきなのか、
自分がやりたいことや得意なことは何なのか。
自分で考える場面がたくさんありました。
高橋:
なるほど。
向:
そもそも、それぞれの学生が自分の役割を見出し、
チームがうまく機能するにはかなりの時間が必要だと思っています。
通常、企業が採用の一環で行なっているインターンシップなどでは長くても1週間くらい。
短いと3日や1日といったものもあります。
しかし、その程度ではチームとして動く前に実習が終わってしまうと思うのです。
高橋:
たしかに。仕事や職場の雰囲気はわかっても、
チームで働く難しさまで経験するには時間が足りないかもしれませんね。
向:
だから、まず、しっかり時間を確保すること。
学生たちが挑戦し、失敗し、その失敗を踏まえて
再び挑戦できるよう1社あたりの実習時間にはこだわっています。
紺野くんたちの時は実習できる社数にこだわっていたんだけどね(笑)。
この辺りのプログラムの改善は学生たちの反応や成長を見ながら、
私たち教員もトライ&エラーを繰り返しています。
紺野:
今の学生がうらやましいなあ(笑)。
それでも、私たちの時代も十分に様々な失敗をする時間はありました。
向:
そうだね。合計600時間という時間は同じだからね。
それから、本学の実習のもう一つの大きな特徴は、
明確なゴールが与えられていないこと。
実習先の企業ごとにテーマや課題はあるものの、
そこから自分たちでゴールを考え、チームで仕事を進めていくことが求められます。
高橋:
本物の仕事に近いですね。
紺野:
私もそうした実習の中で自分の強みと弱みがはっきり見えてきました。
さらに、そのことに在学中に気づけたことが本当に良かったと思っています。
実習で足りないと感じた部分をその後の大学での学びの中で
意識することができますからね。
向:
もちろん、大学としても実習先にただ送り出しているだけではなく、
担当教員は週1回、実習先のチームごとにヒアリングを行い、
サポートやアドバイスを行うようにしています。
しかし、ここで手を差し伸べ過ぎないこともポイント。
学生が自ら考え、動き出すまでじっと我慢する必要があるのです。
高橋:
なるほど。聞けば聞くほど、開志専門職大学の場合、
教員と学生というより、上司と部下のような関係に思えてきました。
向:
それは、すごく意識していることかもしれません。
主体性を磨くにはティーチングより、コーチングが重要だと考えています。
本学の実務教員には企業の管理職経験者も多いですしね。
月に一度、教員同士が教育方針などを共有する際でも、
一人ひとりの学生ごとにどうサポートしていくかといった話をすることも少なくありません。
紺野:
そうだったんですね!そういえば、社会に出てから、
大学の先生に名前を覚えてもらえていることは珍しいことなんだと知りました(笑)。
学生と先生たちとの距離感はかなり近いと思います。
高橋:
一人ひとりに対して具体的なフィードバックがあれば、
見てくれている安心感もあるでしょうし、自信にもつながってくるでしょうね。
向:
やっぱり、良い所を見つけて伸ばしてあげたいと思いますね。
自分では見つけられないような長所を見つけてフォローする。
何でもかんでも教員が指示して、レールを敷くような指導ではなく、
あくまで主体性を磨きながらですがね。
高橋:
なるほど。実習ではチームでトライ&エラーができる時間と
一人ひとりに対するフィードバックが重要なんだということが理解できました。
しかし、まだ何か秘密を隠していますよね?(笑)
向:
するどいですね(笑)。感染力を利用しています。
高橋:
というと?
向:
学生たちも当然、やる気に個人差があります。
でも、やる気がなかなか起きない学生も周りの学生が動いていると焦ってくるんです。
だから、必ず実習はチームで取り組みますし、
そうしたメンバーの組み合わせにも工夫をします。
高橋:
学生の得意不得意とかも感染力を利用するんですか?
紺野:
そうだと思います。
自分の時もプレゼンが上手い人や簿記を勉強している人など、
様々なタイプのメンバーがいて、それぞれが引っ張り合いながら
チーム全体が伸びていっていた印象があります。
高橋:
感染力によって相乗効果が生まれるんですね。
紺野:
チーム内だけじゃなく、「うちのチーム遅れている!やばいぞ!」みたいに
他チームの動きも良い刺激になりました。
高橋:
面白いですね。じつは最初に
「専門職大学は企業内実習が多い」という話を聞いた時は、
専門的な知識や経験を在学中から積むことが目的なのかと思っていましたが、
それ以上にその後のキャリアの土台を築くような時間になっているんですね。
向:
社会で活躍するためには、 やはり社会人としての実践的な練習が欠かせませんからね。
高橋:
そうですよね。大学では専門分野の知識や技術を学ぶことも大切ですが、
その専門性だけで社会に出て活躍できるかと言われたら難しいかもしれません。
しかも、変化が激しい時代では求められる知識や技術もすぐ変化しますからね。
最後はお二人と一緒に、これからの大学がどんなキャリア教育やキャリア支援を
する必要があるのかといった話を掘り下げられればと思います。
向:
わかりました。