静岡県立大学のゼミ・研究室

　当研究室では、がん、脳梗塞、腎疾患などの疾患をターゲットにドラッグデリバリーシステム（DDS）に関する研究に取り組んでいます。DDSは、薬を患部に運ぶための製剤技術であり、薬効の向上や副作用の軽減を可能にします。また医薬品候補化合物のなかにはその実用化にDDS技術が不可欠なものがあり、近年急速に開発が進んでいる核酸医薬やmRNAワクチンはその好例といえます。
　DDS技術の開発によって初めて薬の価値を創造できることがあり、現在有効な治療法がない疾患に対する薬を開発するうえで、今後もDDS研究は重要な役割を果たしていくと考えられます。我々は、「薬物送達学の力でくすりを創る」ことを目標にして、脂質ナノ粒子や合成高分子ナノ粒子を用いた新規DDS技術を開発しています。DDS技術を核とした創薬研究を展開し、アンメットメディカルニーズに応える新薬の研究開発を行っています。我々はDDSを専門にしているため、真理を探究する基礎研究で得られた成果は、いずれ何らかの形で臨床応用に結実させたいとの想いがあります。そのため、異分野連携や産官学連携を積極的に行い、学際的研究を推進しています。静岡県立大学発のDDS技術を世界へ展開し、医療に貢献することを目指しています。

　急速な少子高齢化に伴う疾病構造の多様化、薬物治療の進歩など医療を取り巻く環境が大きく変化しています。慢性疾患の罹患率の増加により病気と共存しながらQOLの維持・向上を図りながら薬の服用を継続していく必要性が高まってきています。
　薬の効き方には個人差があると感じている人は多いと思います。実際に同じ薬を同じ量で服用した場合でも、人によって薬が効いたり効かなかったり、副作用が出たり出なかったりする場合があることが知られています。このような個人差が生じる原因は年齢や性別、生活習慣や併用する薬の影響など様々ですが、遺伝子配列の違いも大きく関わると考えられています。
　臨床薬効解析学分野では、ゲノム情報に基づく創薬研究に加え、遺伝子配列の違いに着目した研究を医療機関と連携して実施しています。薬の服用前に遺伝子検査を行うことで、患者さんにとって最適な治療薬の選択や服用量を設定することが可能になり、副作用を最小限に抑えかつ効果を最大限に発揮できる医療の実現が可能になるものと期待されます。
　臨床薬効解析学分野では、「医療現場からシーズを見つけて研究を展開し、その成果を現場や社会に還元する」ことを目指して基礎研究と臨床研究の橋渡し研究に取り組んでいます。

　食品化学は、食品の持つ様々な機能を分子レベルで解析し、得られた知見を活用する実学です。静岡県立大学 食品生命科学科の食品化学研究室では、食品の味・香り成分が口や鼻で感知される分子レベルの仕組み（味覚・嗅覚受容体）に着目し、バイオテクノロジーや化学、またAIなどの最先端科学技術を駆使することで、味・香りを自由自在にコントロールできる「おいしさの分子設計技術」を開発しています。例えば、大豆の加工プロセスで発生する不快な青臭さを、たった1つの成分を加えるだけで爽やかな心地よい香りに変える技術の開発に成功しました。この技術は、世界的な人口増加によって起きつつある畜肉不足や家畜が原因となる地球温暖化への持続可能な対策として期待されている、大豆を原料とするおいしい代替肉の開発に活用できます。
　また近年では、味覚・嗅覚受容体は口や鼻以外の非感覚組織にも存在し、糖代謝など様々な生理機能に関係することが分かってきました。私たちは「おいしさの分子設計技術」を応用し、非感覚組織（特に外環境に接する目や皮膚）での味・香り成分の感知を原理とする、新しいタイプの機能性食品・化粧品・医薬品の開発にも取り組んでいます。

研究室HP：http://dfns.u-shizuoka-ken.ac.jp/labs/foodchem/

　豊かな食生活は、運動・睡眠と等しく健康維持に重要です。特に、生体恒常性の維持に寄与する様々な食品・栄養成分の作用機構の解析は、人類の健康増進・QOLの向上・健康長寿へと繋がる研究分野の重要な一翼を担っています。また、生体の恒常性維持機構の破綻は、生活習慣病をはじめとする様々な疾患の要因となるため、生物個体および組織、細胞の生理病理的変化の解析は、疾患の予防と促進機構を理解する上で非常に重要です。
　本研究室では、恒常性維持機構に関連する病態に依存した内因性分子の変化と食品成分による予防機構に関する研究を展開しています。特に、静岡県の名産である自然薯の成分ジオスゲニンに着目した研究を推進しており、地元企業と連携し、食品加工品の開発・販売を行い、地域活性化に貢献しています。また、持続可能な社会の実現のために、食品の不可食部に多く含まれる食品成分の有効性を見出し、食品の廃棄を減らす取り組みを行っています。さらに、環境変異原物質である芳香族アミンの発がん機構の解明も行っています。

　「Game Terakoya」で学生は最新鋭の言語とリテラシーを学び、日英2言語を用いてメディアや社会活動を踏まえた読み書きを行っています。仲間と話し合い、助け合いながら、各々の思う社会問題へ思案を巡らせ、育まれたアイデアをもって、専門性の伴う自身の方法で社会へ参画するのです。
　幸せへと突き進む好奇心で自由な価値観を得れば、自身のみでなく他者の人生も豊かになっていくでしょう。
Ａ「ゲームが本当にいい教材になるんですか？」
Ｂ「何をするか、だね。各分野に関連する数多くのゲームを、各自の目的に沿わせて使うんだ。」
Ａ「そうなんですね。」
Ｂ「どう繋げていくかも重要だ。ゲームはスタート地点に過ぎない。集めた情報を分析し、ゲームの体系や言葉、また社会との繋がりを掘り下げる。ゲームが自身や世界を見つめ直させ、気付きの種を与えてくれるんだ。それを育て上げることで、イベントの開催、教育的ゲームの提案、またチャリティーの創設のようなプロジェクトとして実を結ぶんだよ。」
Ａ「なるほど！」
　アインシュタインは、”遊びは、研究の最も高度な在り様である”と言いました。
私たちのゲーム後の行いも、人の最も高度な在り様です。
共に遊び、学びましょう。

　現代の国際社会は、紛争や暴力的過激主義、貧困や格差、感染症や自然災害、難民問題など、複雑で相互に関連する国境を越えた課題が山積しています。このような国境を越えた課題が広がるなか、国際社会の安定を支えてきた基盤が揺れ動くとともに、冷戦終結後の紛争の増加、テロの脅威とともに、宗教間、民族間、そして、国民間や国家間においても信頼の崩壊が拡大しています。
　それは、他民族への不信、他宗派への不信、国民の政府への不信など、人と人をつなぐ信頼の崩壊やネットワーク、規範といった社会関係資本が希薄となり、それが崩壊していくことによって世界が混沌とした状況に陥っています。このような状況のなか、今後の国際協力、平和構築などのあり方について実現可能な提言を行うことを目指しています。

　岩崎研究室の研究テーマは、マーケティングです。マーケティング研究を通じて、地域が抱える諸問題の解決や地域経済の発展に資する情報発信を行い、“地域の元気”に貢献したいと考えています。
　岩崎研究室では、行政、業界団体、企業等と積極的な連携を行い、地域に対して研究成果を還元しています。
　具体的な研究テーマは、
・観光のマーケティング、地域のブランドづくり
・農業や農産物のマーケティング、地域産品のブランドづくり
・中小企業、地域商業、街づくりのマーケティング
などです。
　岩崎研究室の学生は、地域の様々なマーケティング課題から具体的テーマを設定し、そのテーマに関する問題把握、仮説の構築と検証、問題の解明、マーケティング提案といった一連の研究活動を行います。
　研究活動と並行して、行政や地域経済との連携プロジェクト、新製品開発プロジェクト、企業に対する経営コンサルティング、ゼミ合宿等でのフィールドワークなど、多様な実践活動を行います。
　理論と実践の双方から、マーケティング力を身につけていく。マーケティング研究・実践を通して、地域社会に貢献する。これが岩崎研究室の特徴です。

　気象のような自然現象、エネルギーの需要と供給、株価の変動、SNSなど私たちの身の回りは時間によって常に変化しています。個々の情報は単体で変化しているのではなく、蜘蛛の糸のように複雑に絡み合い影響を及ぼし合っています。その因果関係は天文学的組み合わせで構成されており、人が解析できる範疇を超えています。
　静岡県立大学経営情報学部六井研究室では、時間変化する膨大な情報を人工知能における機械学習によって分析し、個々の情報の関係性を明らかにするだけでなく、未来を予測する研究に取り組んでいます。予測される未来は常に変化し、枝分かれする可能性を秘めています。更に、予期しなかった新しい情報が影響してくるかもしれません。これらの可能性も含めた未来予測をビッグデータを用いて明らかにする新しい分野の開拓を目指しています。数値データだけでなく、SNSでは文字情報や画像、動画情報も飛び交っています。これらメディア情報を適切に処理し、自然情報や経済情報、あるいは災害情報やエネルギー情報などと組み合わせて多種多様な予測ができる手法の確立を目指しています。

　日本の国民の約半数は労働者です。労働には危険を伴う業務、身体や心理に負担を及ぼす業務などがありますので、労働者が健康を害さずに保持増進できるための支援が必要です。産業看護職はその支援を行う看護専門職ですが、多くの看護職養成機関では、基礎教育において産業看護学の十分な教授がされていない状況です。産業看護職の教育を充実させ看護実践の質を高めることが、労働者へのより良い健康支援につながります。本研究室では産業看護職への基礎教育および現任教育を継続して行うシステムを構築することを目指しています。
　労働者の高齢化、女性や外国人労働者の増加、さらに非正規労働者の増加など働く人々や働き方は多様化しています。産業看護職が労働者の抱える様々な健康課題に対応し、健康に働くことができるように支援し続けることで、労働者の働く意欲の向上やプライベートの充実につながるだけでなく、優秀な人材の確保（流出防止）や成長を期待できます。

　”こころ”の健康を保つことが大切とされる時代です。昨今COVID-19の影響を受けて、様々な問題が”こころ”に起こってきました。自粛によるうつや自殺の増加、感染への不安の増大、過度な感染者へのバッシング、孤立や孤独を生んだことによる弊害など、誰もが”こころ”の健康を害するリスクがあります。”こころ”が健康であることは、身体の健康を保つことにつながります。それには予防が大切で、早期の対応が最も効果的です。
　小中学校では保健体育等でストレスマネジメントなど「心の健康」について学ぶ機会がありますが、あまり深まった話はしません。しかし全ての人がメンタルヘルスに関して少し多めの知識を持つことは、自らの心の不調に対して、早期に対応できたり、周りの人が体調の悪い時にアドバイスができるなど、社会全体のメンタルヘルス向上のきっかけにつながります。篁研究室では、より良い”こころ”の健康を保つための予防としての教育づくりを、教育現場に広めるための研究に取り組んでいます。