大阪大学のスペシャルコンテンツ

進学の、その先へ。
なりたい「わたし」を一緒に見つける
進路情報ポータルサイト

環境にやさしいバイオマスプラスチックで、海の豊かさを守る

■学問大分類:工学・建築
■学問小分類:応用化学
■提供:大阪大学工学研究科 応用化学専攻 物質機能化学講座 高分子材料化学領域

2050年、海洋プラスチックごみの量は魚より多くなる!?

安価で軽量、高い意匠性とデザイン応用性、しかも丈夫で腐らない素材。それはプラスチックである。しかし、その多くは自然環境で分解されない。なかでもポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などの汎用プラスチックは私たちの暮らしにとても身近な存在だが、近年、環境問題、特に海洋汚染を引き起こす要因として大きな注目を集めている。世界でなんと毎年900万トンを超えるプラスチックごみが陸上から海洋へ流出しており、2050年には海洋プラスチックごみの量は魚より多くなるとの報告もある。また、マクロプラスチックと呼ばれるレジ袋や魚網、プラスチック容器など放棄されたごみ以外にも、マイクロプラスチックと呼ばれるサイズが5ミリ以下の微細なプラスチックごみの増加が深刻になっており、例えば、フリース等に利用されるポリエステル、ナイロンといった化学繊維のマイクロファイバーが洗濯で抜け落ち、川から海に流出して汚染の原因となっている。丈夫で腐らない軽い素材のプラスチックにはメリットも多い。しかし、我々は現時点でも食物連鎖により、一人当たり毎週クレジットカード1枚分の5グラムを摂取しているというから事態は深刻だ。

海に還るバイオマスプラスチックの開発

そこで、地球にやさしいプラスチックとして開発されてきたのが「バイオプラスチック」である。通常のプラスチックは石油由来だが、植物由来の資源から作られるものは再生可能のため「バイオマスプラスチック」とも呼ばれる。なかでも、自然界の微生物がプラスチックの分解を促進する「生分解性プラスチック」は、環境に悪影響を与えないレベルの低分子化合物にまで分解される。しかし、その生産量は国内で0.1%にも満たないという。既存のものより性能が劣り、価格も高いからだ。
こうしたなか大阪大学の宇山研究室(宇山 浩教授)では、植物から豊富に得られるデンプンとセルロースという安価なバイオマス資源から、環境への負荷が小さいプラスチックの開発に成功。しかも、汎用プラスチックの2倍以上の強度を持ち、海で分解するという魅力的な素材だ。開発のきっかけは、学生が「2種類のセルロースを複合すると、乾燥して収縮させても、水を加えれば再び膨潤する性質を持つ」と気づいたことであった。この特異な挙動を面白いと考えた宇山先生は、逆に「再膨張せず耐水性や強度を持つセルロースナノファイバーとデンプンの組み合わせ」を発見した。

大阪大学と民間企業の強固な連携

プラスチックごみの中でも、とりわけ海洋へ流出する可能性が高いのがワンウェイ用途のプラスチックである。ワンウェイ用途とは、一度だけ使用した後に廃棄されることが想定される製品、例えばストローやドリンクカップなどを指す。これらについては、個々人や各企業による環境意識の向上が望まれると同時に、海洋へ流出しても環境への負荷が少ない素材(生分解性プラスチック)への代替を進めることが社会的にも切望されてきた。が、その製品開発や普及についてまだまだ課題が多かった。そこで、先述した大阪大学の宇山 浩教授、同大の徐 于懿助教が代表幹事となり、2020年9月に海洋生分解性バイオマスプラスチック(MBBP)を用いた製品開発及びその社会普及を目指したプラットフォームを設立した。民間企業40社以上が参画し、産官学の強固な連携により海洋プラスチックごみの削減に貢献できるMBBPのいち早い実用化を目指している。

複雑な金融の問題を、シンプルでわかりやすい数式で解明!

■学問大分類:数学・物理・化学
■学問小分類:数学
■提供:大阪大学基礎工学部 情報科学科

保証型の金融商品は、金融工学でつくられている?

皆さんは、投資や資産運用についてどんなイメージがありますか。自身の持つ資産を、株や債券を組み込んだ金融商品などに投資して効率的に資産を増やしていくことを資産運用と言います。例えば、「変額年金保険」のようなハイリターンを狙う金融商品は、運用次第で将来受け取る年金額が変動するリスクがあると言われていますが、最近は、最低保証(最低受取額)が設定された商品が主流になっていることを知っていますか。しかし何故、「変額年金保険」を販売する会社は、日々値動きしている株や債券を扱っても最低保証ができるのでしょうか。実は、この最低保証を実現するために用いられているのが「金融工学」と呼ばれる技術です。驚くべきことに、どんなに値が大きく変動しても会社は損をしていません。これは偶然の産物などではなく、金融工学を用いて厳密な商品設計を行うことで可能になっています。利益が出そうな時に多く取引をし、利益が下がりそうなときには投資額を少なくするなど、市場の動きに応じた確実な取引を行えるよう、金融工学を理論的にバックアップしているのが、大阪大学・深澤正彰先生の研究分野「数理ファイナンス」です。

数理ファイナンスは、”役に立つ数学”の最前線!

数理ファイナンスは、さまざまな分野に応用されている数理科学の一分野。情報化社会に欠かせない暗号化技術や医療現場に欠かせないCTスキャンも、数理科学の応用技術です。深澤先生の研究分野「数理ファイナンス」も我々の生活に欠かせない点でこれらに匹敵します。これまで、さまざまな学者が金融工学の研究を進めてきましたが、課題のひとつとして「理論上の計算」と「実際の取引」の間に生じる「誤差」がありました。現実の株取引に近い値(近似値)をはじき出すことは金融工学における究極の命題です。現実に沿った確実な取引の実現が安定的な収益を生み出せるからです。そこで、深澤先生は確率解析の枠組みに天文学に由来する「摂動法」を数学的に厳密に導入する独自の研究手法で「数理モデル」を構築し、この誤差を以前より少なくすることに成功。金融商品を設計する実務家の方々が実際に使うことを想定した深澤先生の数理モデルはシンプルでわかりやすく、国際的にも高く評価されています。

研究をさらに進めていき、経済の発展に貢献していきたい

深澤先生が数理ファイナンスの研究を行うようになった原点は、高校生の頃に起きた「アジア通貨危機」を通じて、「なぜ金融破綻が起こるのだろう。どうしたら金融破綻を起こさずにすむのだろう」と思った経験にあります。その答えを見つけるため、「数理ファイナンス」という最先端の学問を選んだそうです。「バブル崩壊やリーマン・ショックなどの金融危機を解明し、経済現象をコントロールできるような理論をつくっていきたいですね」と、深澤先生は語ります。この言葉からもわかるように、数理ファイナンスは経済という社会現象そのものを、数学的なアプローチにより読み解くものです。もちろん、金融経済システムは大規模化・多様化しており、複雑システムの代表例と言われていて、読み解くことは簡単なことではありません。しかし、深澤先生の研究が進めば、経済の発展そのものに貢献することだってできるかもしれません。引き続き自身の研究を続けるとともに、次世代の金融業界や数理ファイナンスの研究分野でリーダーとして活躍できるような人材の育成にも力を入れていきたいと深澤先生は考えています。

  • 学校No.2168
  •  

近隣エリアから専門学校をさがす

近隣エリアから専門学校のオープンキャンパスをさがす

資料・願書請求できる学校をさがす