石巻専修大学のゼミ・研究室

　みなさんは、動物をどのようにとらえていますか？イヌやネコのようなペットは親しみがあると思いますが、自然に生息する動物はどうでしょう。イノシシやクマやサル、他にも微生物など多種多様な生物がいます。私たちのゼミでは、このような自然に生息する生物のつながりを解明し、そのメカニズムを人間社会の問題解決に役立てられないかと考えています。そのためにはまず野外調査です。石巻専修大学の近くには豊かな自然があります。実際の動物を調査して生態を調べ、探究する「フィールドワーク」を重視しています。

　石巻専修大学理工学部生物科学科の鈴木研究室では、地域水産物に関する様々な研究の成果を、町おこしや地域の活性化、さらには被災地の復興支援に繋げていきます。
　そのひとつが、水産廃棄物・未利用部位の有効利用に関する研究です。例えば、水産都市石巻で大量に排出されている加工廃棄物や鯨の未利用部位から人間の健康促進に有用な化学物質を抽出・定量し、石巻市の定番土産であるサバだしラーメンのような加工品を製造するための基礎研究を行っています。これにより食料自給率の向上と同時に、商業捕鯨中止期間に衰退した鯨産業復活のための基礎的知見を得ます。
　さらに、未利用魚・低利用魚の利活用に関する研究を行っています。漁獲後投棄されている魚の化学物質を抽出・定量・加工し、環境負荷の少ないプラスチック代替品を創る基礎研究です。これは海洋汚染の原因であるプラスチックゴミの削減に繋がる研究です。

これらの他にも、以下のように、水産物に関する様々な研究を行っています。
◆金華山沖合で漁獲される深海魚の有効活用に関する研究：
深海魚から、人間の健康を促進する有用な化学物質を抽出・定量し、さらに刺身でも食べれる魚種や加工品を開拓します。深海魚を町おこしや地域の活性化に繋げます。

◆魚体に含まれるアニサキス幼虫無害化に関する研究：
安価簡便な方法で魚肉中に潜むアニサキス幼虫を無害化し、年間1万人弱の胃・腸痛症の件数を軽減する方法を開発します。

◆地域水産物の養殖化：
大都市圏には流通していない、地方特産の美味しい水産物を、東日本大震災最大レベルの被災地で養殖し産業化することで、復興の貢献に繋げます。

　当研究室の研究は主に２つ。１つ目は「MEMS]と呼ばれる数mm角以下の微小なチップの研究です。これはシリコン基板や有機材料などの上に、微細加工技術によって、電子回路やセンサ、機械的に動くアクチュエーターなどを集積化したデバイスのこと。演算処理機能に加え、各種センサの機能が搭載されているため、これらは現代人の日常生活に欠かせない技術となっています。応用は広範囲に渡り、さまざまな製品に使われていますが、代表的なものは、自動車のセンサやスマートフォンのマイク機能での利用などでしょう。
　2つ目はロボットに関する研究です。ロボットを人間で例えると、脳みそはマイクロコントローラを使用、五感は各種センサー、関節や筋肉の動きはモータやアクチュエータ等、マイクロコントローラから伝達した指令によってそれらの部品を制御してロボットを構築しています。様々なニーズに応えるためのロボットシステムをつくりながら、日々研鑽に励んでいます。どちらも「No Pain,　No Gain」の精神で活動しています。

　また、石巻ＳＤＧｓ未来都市への貢献を目的に、リサイクル部品を活用した小型電動モビリティの研究、再生可能エネルギー活用の風力・太陽光ハイブリッド発電機の研究を進め、地域で活用のためシェアリングの仕組みでの実用化を目指しています。さらに、牡鹿半島など自動運転が早期に望まれている地域のため、必要となる道路上の目印などの研究を進め、できるだけ簡易なシステムを道路インフラとセットで提案することを目指しています。
※大学構内を実験フィールドとして活用し、実証実験を実施しています。

　研究室のテーマは自由です。学生には自由に自分のやりたい内容の研究を行ってもらっています。例えば、吹奏楽サークルで指揮者をしていた学生は、指揮の練習環境をVR空間で構築し、技術評価のフィードバックも得られるアプリを作成しました。他にはロボコンに出場するためにロボット製作と制御プログラムを開発した学生もいました。この研究はまさに情報と電子の両方の知識を生かした内容でしょう。また、ゲームなどの人工知能を作る、というテーマを扱うこともあります。
　私の研究の中心テーマは、点と点を線で結んだグラフと呼ばれる図形の性質を調べることです。グラフはインターネットや道路、パズル、ゲーム、人と人との関係性などをモデル化したものであり、様々なものに利用されています。例えば、カーナビゲーションシステムで案内される経路はグラフを基にして考えられています。また、パズルやゲームの解析もグラフを基に考える事が多いです。その他の研究として、学習による能力向上の原因を定量的に評価しています。これが詳しく分かると、効率の良い学習方法が分かるかも知れません。また、学生がより自主的に勉強出来るシステムの開発も行っています。

　現代はVUCA（Volatility：変動性、Uncertainty：不確実性、Complexity：複雑性、Ambiguity：曖昧性のそれぞれの頭文字）時代と呼ばれています。ビジネスや自然環境の変化が激しく、科学技術の進歩も著しい。そんな時代においては近い将来でさえ何が起きるのか予想が難しいため、企業をはじめとした社会で働く人々は高度で複雑なスキルを身につけ、高いモチベーションを維持しつつ、臨機応変に対応しなければなりません。また、そのような社会ではお互いに協力し合うことで困難を乗り切る必要があります。石巻専修大学経営学部経営学科の稲葉研究室ではこれらの難題に対して人材マネジメントという切り口から解決を試みています。例えば、近年は「働き方改革」が叫ばれていますが、地方の中小企業では少子高齢化等で人材不足がより顕著な問題となっており、人材育成の重要性が高くなっていると言われています。稲葉研究室では実際に石巻の企業に勤める若手社員や人事担当との交流を行い、地方企業における人材育成のヒントを得る取り組みをしています。また、地域企業が集まるコミュニティを通して、地域ぐるみでその土地で活躍できる若手人材を育成する試みも行っています。
　また、他大学の経営学や組織論を専門とする研究室との合同ゼミも行っています。そこでは延べ100名以上の学生と教員が集い、それぞれの研究テーマの発表を通してより広く、より深い知識の探求を行っています。稲葉研究室は今後も組織とヒトに着目し、人材マネジメントの実践と理論の双方から現代社会が抱える問題へアプローチしていきます。

　日本各地で地域経済の衰退が目立っています。地元商店街はシャッターが目立ち、人口の都市部への流出も止まりません。そのような現状を受け、地域活性化の取り組みも全国で立ち上がっていますが、なかなか成果を上げるのが難しい現状です。
　実は、地域経済には経済的な成果の多くが都市部へと流出してしまう構造があり、この点を理解することが地域活性化に非常に重要なことです。また、都市部と競合する経済的な関係だけではなく、もっと人的なつながりを現代的に再構築することも重要になります。経済の側面では都市部との差別化は不可能だからです。そうした問題意識を持って、地域経済の産業構造を産業連関の観点から分析し、循環構造の再構築を目指すとともに、地域の中で人的つながりを現代的にアップデートすることを目指して活動しています。

　ゼミでは、社会学や関連分野の文献講読を通じて、社会のしくみや現代社会の諸問題について議論している。人口減少や少子高齢化、医療・福祉をめぐる問題、世代間格差やジェンダー格差、移民・外国人労働者をめぐる問題等、さまざまな問題を社会学的な考え方を通して批判的に読み解くことを目指す。物事を批判的に読み解く作業は、現代のさまざまな課題を早急に解決することには役に立たないかもしれない。しかしこうした作業は、課題解決に役立つと言われる方法や研究には落とし穴があること、そしてそれらはしばしば現状の体制に親和的でマイノリティと呼ばれる人たち（女性、LGBTQ、外国人労働者、病者・障害者、その他社会的に不利な状況に置かれカテゴリー化すらされていない人たち等）をますます生きづらくさせる可能性があることに思いを巡らす力を育てるだろう。こうした力こそ、現代を生きるわたしたちに必要な構想力、すなわち、どのようにして今とは異なる社会をつくることができるのかを考える力の源泉となるものであり、これからの社会を担う若者に求められるものであろう。

　私たちは日々の生活のなかで、自然の産物やわれわれの身の回りにあるさまざまな事物や事象、さらには各種芸術作品に接することで、たとえばそれらの対象について「美しい」、「きれい」、「かわいい」、「カッコいい」などと感じますが、こうした経験こそ美的経験に他なりません。本研究室ではこの美的経験について対象のもつ美的な性質と経験主体の感受内容の両面から考察します。また美的経験に直接関わる能力が感性（美的センス）であることから、これを感覚や知覚、あるいは知性との関連において考察することで、この感性（美的センス）という人間に固有の能力の解明に努めます。

　芸術は一般に言葉では言い表わせない意味をわれわれに伝えることができますが、本研究室では、こうした芸術の具える独自の意味作用のあり方について言語との比較をとおして考察することで、人間にとって芸術のもつ意義を明らかにします。しかし一方で、芸術が言葉では言い表わせない意味を伝えるといっても、その意味伝達の具体的なあり方は、美術、音楽、舞踊、映像など、それぞれのジャンルで異なっています。ここではジャンルごとの意味伝達方式の違いに注目しながら、個々の作品に即して研究をおこなうことで、各芸術ジャンルの表現メディアとしての独自性を探ってゆきます。

　学校の教育も大きく変わってきました。昔は黒板とチョークを使って教えられる物をただ受容する、そんな受動的で単一的な教育が当たり前でした。今は授業の中で動画を視聴したり、ネットによる情報収集を元に主体的・対話的に学び合ったりといった、能動的な授業が普及しつつあり、学びのスタイルの多様化が急速に進んでいます。こうした情報化社会における教育で大切なのは、氾濫する玉石混交した情報をしっかりと精査する姿勢を養い、正しく分類し整理するスキルを高めることです。これからの未来に教鞭を取る人たちには是非そういった視野を持って学び舎に進んでもらいたいと思っています。
　また、ICTを教育に活用することは便利であり学習の効率をあげることは確かですが、情報化機器を導入すればそれで終わりではもちろんありません。ICTはあくまでも各々の教育目的を達成するため「手段（ツール）」であり、「全て」ではない。その基本ラインを丁寧に確認しながら、ICT教育の可能性を探るゼミナールです。