これからの“働き方

安全なまちをつくり、自然災害から人々を守る技術系職種公務員とは?

■学問大分類:工学・建築
■学問小分類:土木工学
■提供:関東学院大学 理工学部 土木・都市防災コース

技術系職種公務員は社会インフラの整備と防災対策に携わる重要な専門職

国や自治体の技術系職種公務員の仕事は、街の整備に関わる公共事業の計画立案をはじめ、現地での測量や設計、工事現場の監督など多岐にわたります。また、台風や豪雨、地震など自然災害の多い日本では、防災に関わる公共事業も担っています。

この専門職の種類はさまざまですが、なかでも「土木系」は道路の新設や改修、河川や港湾の安全管理、公園の整備や市街地の再開発など、広い範囲にわたる大規模な整備事業に関わっています。国や自治体の公共サービスの向上に大きく貢献している職業であり、例えば、歩行者と乗用車が安全で快適に利用できる道路を整備することで交通事故を減らしています。また、駅や公共施設のバリアフリー化によって、子どもや高齢者、障害者の安全を守っています。そのほか、洪水から街を守る堤防や放水路、震災時の避難場所となる公園や緑地の整備といった防災・減災に関わる公共事業にも、土木系技術職の活躍が欠かせません。

社会基盤や防災環境の整備には土木工学の技術と知見が不可欠

土木系技術職の仕事には、私たちが暮らす街や自然を守るための社会基盤づくりを行う土木工学の技術と知見が必要です。土木工学は空間づくりや構造物の仕組み、地盤や河川で働く力学など物理学の分野と深く結びついている学問です。また、道路や建造物の安全な土台づくりにつながる地盤工学や、津波や洪水など水害のメカニズムと解決法を追究する水工学などの知見も不可欠となります。

土木系技術職が活躍する仕事の現場では、インフラ整備事業に関わる部署のほか、建設や機械、電気設備、道路工事など多様な担当者が協働します。大規模な都市整備のプロジェクトでは自分とは専門が異なるさまざまな人々と仕事をするため、経済学や社会学、心理学など、社会学系の専門分野の知見も必要とされます。

土木工学を学ぶ学生の卒業後の進路は、国や自治体の技術系職種公務員のほか、建設や鉄道、機械や電気メーカーなど、社会インフラを支える多様な業界へと広がります。

土木工学と都市防災を総合的に学び、技術系職種公務員を目指そう

関東学院大学理工学部の土木・都市防災コースでは、このような都市整備と防災対策を専門とする技術系職種公務員を目指すことができます。このコースでは、企業や国土交通省など産学官連携のプロジェクトにも参加でき、大学で学んだ専門知識と技術を実地で生かしながら修得できます。

日本の高度な都市整備と防災の技術を次世代につなげていくのも技術系職種公務員の大きな役割です。自らの技術力を高めながら、実績が形として残る仕事に携われる技術職を多くの学生たちが目指しています。

そのほか、同校では「防災・減災・復興学研究所」を設置し、理工学部のみならず、法学部の地域創生学科など学内11の学部と連携して、防災と復興に総合的に取り組む人材を養成しています。専門分野を超えた横断的な学びを通し、国や自治体、企業の技術職だけではなく、都市整備や防災の政策や計画に携わる職業など、卒業後の進路の可能性をより広げることができます。

エネルギーと世界

次世代のバイオ燃料の開発に遺伝子組み換えの技術が役立つ

■学問大分類:農学・水産学・生物
■学問小分類:生物学
■提供:関東学院大学 理工学部 生命科学コース 植物分子生物学研究室

バイオ燃料の原料となる植物の活用に大きな変化が

バイオ燃料とは、植物などに由来する資源(バイオマス)を原料とした燃料を指し、主に自動車やトラックなど輸送車両のエコ燃料として活用されています。燃料を使用する時、空気中に二酸化炭素を排出するものの、原料である作物が成長のプロセスで二酸化炭素を吸収するため、結果的に地球温暖化を抑えるはたらきがあると考えられています。

この燃料の変遷をたどると、まずトウモロコシやサトウキビなど人間の食糧となる植物を原料とする「バイオエタノール」の開発に始まります。「第一世代のバイオ燃料」と呼ばれ、主にアメリカやブラジルで盛んに生産されています。

しかし、世界の人口増加に伴う食糧不足への懸念によって、地球上の限られた耕地で第一世代のバイオ燃料と人間の食糧との生産が競合するという問題が生じています。そのような背景から、人間が食べられない植物を原料とする「第二世代のバイオ燃料」の研究開発が進められています。

遺伝子組み換え技術がバイオ燃料の新たな原料の開発を可能に

地球温暖化や食糧不足という課題に対して、関東学院大学理工学部生命科学コースの近藤陽一教授は、遺伝子組み換え技術が環境に負荷をかけない次世代のバイオ燃料の開発に有効ではないかと考えています。

研究室では、遺伝子工学と分子生物学に基づき、紫外線に強いといった環境ストレスに耐えられる遺伝子について研究しています。ゼニゴケを使ってその遺伝子を探し、それをモデルとなるシロイヌナズナに組み込むなどの実験を重ねており、両方の植物に同じ機能が認められれば、その遺伝子はシロイヌナズナと同じ被子植物であるイネやコムギにも有用であると考えられます。

環境ストレスに強い遺伝子が見つかれば、バイオ燃料の原料にふさわしい植物の開発に応用できる可能性があります。地球上のさまざまな自然環境の、面積の限られた農地で育つ植物を、この有用な遺伝子に組み換えて作ることで新しいバイオ燃料が生まれるかもしれません。

世界的な研究課題にあきらめずに取り組む科学者になってほしい

また、近藤教授は「遺伝子組み換え技術を応用するだけではバイオ燃料の課題は解決できない」と指摘しています。

「実際、バイオ燃料の生産プロセスにおいて、エネルギーを大量に消費し、二酸化炭素を排出しています。例えばトウモロコシの栽培には工場で大量生産される化学肥料が使われ、デンプンを糖化させてエタノールへと精製する時も石油由来のエネルギーを利用します。エネルギーの放出と二酸化炭素をいかに削減するか解決しなければなりません」

これから生命科学を研究する学生には、「遺伝子を分子レベルで理解するためにも、高校で化学をしっかり勉強してほしい」とのこと。「また、バイオ燃料のようにエネルギー問題の研究は工業化学など他の学問領域の知見も必要であり、複数の学問分野を融合しています。世界的な研究課題に対して、自分の専門分野を学び深めながら、科学者としてあきらめずに取り組む人になってほしい」と期待しています。

産業・企業を支える研究と活動

地元の農水産物の隠れた魅力を発見し、ヒット商品を生み出すには?

■学問大分類:経済・経営・商学
■学問小分類:経営学
■提供:関東学院大学 経営学部 K-bizプロジェクト

人口減少と地域経済の低迷に伴う課題は多面的に考えることが大切

日本は全国的に人口減少と地域経済の低迷という社会的課題に直面しています。新たに移住者を迎え入れたり観光客を増やすなど、地域を活性化するために、多くの自治体では地元の自然や産業を見直し、行政に加えて企業や住民も一体となって魅力ある地域づくりに取り組んでいます。

地域を活性化するためのひとつのカギとして、その土地ならではの農水産物が挙げられます。各地で、野菜や果物、魚介類などを積極的に市場に展開するとともに、お菓子やラーメンなどのご当地グルメも生み出しています。

コロナ禍の中、新しい生活スタイルが生まれ、現代人の働き方が変わろうとしている今、自然豊かな地域へと移り住む人も少しずつ増えており、このことも地域活性化のチャンスと捉えられています。そして地域活性化には、自治体や企業、市民が連携して、自然、農業、社会、環境など、さまざまな側面から地域づくりを追求することが大切です。

データ分析から仮説を立てて選定した商品がすぐに完売

関東学院大学経営学部の小山嚴也教授のゼミでは、三浦半島の地産物の魅力を伝え、多くの人に訪れてもらうことを目的とした学生主体の物販店「K-bizマルシェ」を定期的に開催しています。京急電鉄と京急百貨店の協力のもと、地元の魅力的な農水産物とその加工品を学生が自ら探して選び、販売しています。

2019年に実施された7回目の販売では、人気の野菜や水産物、加工食品に加え、新たに販売する商品が検討されました。まず、過去の購買客のアンケートに基づき、年齢や性別、職業、家族構成、来店時間などから最も売れる商品の仮説を立てました。そして学生が8グループに分かれて仮説にふさわしい商品を探して検討。結果、60年以上の歴史を誇る老舗の「玉子焼」を選定しました。

マルシェは京急線上大岡駅の改札前に設けられ、商品の仕入れから搬入、店先のワゴンの準備、商品の陳列まですべて学生が行います。次々と商品が売れる中、過去のデータ分析結果から選ばれた玉子焼が最も早く完売しました。

経営学の理論と実践を通して地域課題の解決を研究する

今回のマルシェについて、ゼミ生の大沢汐音さんは「玉子焼が売れたのは、プレーンが1個280円という価格設定に加え、購買客の年齢や性別、家族構成を問わず受け入れられたことが考えられます。マーケティングには、データ分析と実地調査の両面から、売れる根拠を追求することが重要だと改めて気付きました」と語ってくれました。

同校の「K-biz」は、サポーター企業11社と取り組む社会連携教育のプロジェクト。経営学の専門知識と理論に加え、社会調査の方法やデータ分析、企画提案など社会的課題の解決を実践的に学びます。小山教授は「生産者や企業、行政など地域と直接つながり、プロジェクトを実践することで、経営学の知識と理論をより深く理解することができます」と語っています。

小山ゼミの研究活動は、2022年で6年目を迎えた「K-bizマルシェ」のほかにも、ご当地ラーメンの企画開発や地元の高校の探求型学習への協力など、さらに広く発展しています。