10年後のまちづくり

スポーツの力を活かして地域を活性化させる

■学問大分類:体育・健康・スポーツ
■学問小分類:スポーツ学
■提供:愛知県 愛知学院大学

スポーツイベントやアリーナ建設が都市にもたらす効果とは?

地域の活性化や住民の生活の質の向上のために、全国の自治体がさまざまな取り組みを行っています。
その方法の一つとして注目されているのが、スポーツによる地域振興です。愛知学院大学の内藤正和先生は、まちづくりの手段としてのスポーツの有効性と、そのための仕組みづくりを研究しています。
これまでスポーツは、体育や余暇といった教育・健康増進の一環と考えられてきました。しかし近年では、スポーツイベントの開催やスタジアム・アリーナの整備による経済効果も認識されています。たとえば愛知県名古屋市の名古屋ウィメンズマラソンでは、全国から多くのランナーが名古屋市を訪れます。すると参加者の宿泊施設や交通機関の利用、飲食、観光、スポンサー企業からの収益など、イベントを起点にさまざまな形でお金が動きます。
このようにスポーツは、都市のにぎわいの創出やシティプロモーションなど都市の持続可能性を高める手段となるのです。

まちづくりは、住民の“みんな”が主役。

スポーツが地域にもたらすのは、経済的効果だけではありません。たとえば大会に参加するために運動に励むなど、市民の健康増進にも役立ちます。大会ボランティアに参加することで、社会貢献の意識が高まることもあるでしょう。
こうした非経済的効果を期待できるのも、まちづくりでスポーツを活用するメリットです。しかし、ただイベントを開催したりアリーナを建設しさえすれば、簡単に効果が得られるわけではありません。
内藤先生は政策のプロセスに着目し、自治体が実現に向けてどのように計画を進め、住民との合意形成に至ったのかを研究しています。
「アリーナのような大規模施設には巨額の費用が必要です。その都市にとって重要な施設となるためには、一部の人の意見だけでなく“みんな”で“考える”必要があります。では誰が、どのように考えるのか?今後は、その仕組みや住民への情報公開の方法などを検討しています」と、内藤先生は語ります。

イベントで実践的に学ぶ、スポーツの地域活性化。

内藤先生のゼミでは、スポーツによる地域活性化を実践的に学びます。その活動の一つが、プロバスケットボールチーム「シーホース三河」のホームゲームのサポートです。インフォメーションセンターの運営、演出の補助、広報のサポートなど、活動内容は多岐にわたります。チームとの話し合いや役割分担など、すべてを学生が責任を持って行います。
また愛知学院大学が主催する少年サッカー大会「AGUCUP」では、SDGsに関する知識を広めるイベントを企画・運営しました。大手飲料メーカーと連携して、ペットボトルの持ち込みを禁止する代わりにコップと飲料を提供。プラスチックごみの大幅な削減を実現しました。またペットボトルのキャップで海を表現したアート作品を作り、自然環境の保全を呼びかけました。
こうした活動を学生が主体的に行うことで、自発的に行動する力や社会人と接するコミュニケーションスキルを養っています。

10年後のまちづくり

人生の最期を自分らしく生きるために、食をサポートする「お食い締め」。

■学問大分類:医学・歯学・薬学・看護・リハビリ
■学問小分類:言語聴覚学
■提供:愛知県 愛知学院大学 健康科学部* 健康科学科 言語聴覚士コース(*2023年4月 心身科学部より名称変更)

高齢化の進む未来、人生の最期をどう迎えるか。

あなたは人生の最期をどのように過ごしたいと思いますか。きっと誰もが「死ぬまで自分らしく生きたい」と願うでしょう。住み慣れたわが家で、なじみの家族や友人に囲まれながら息を引き取りたいと多くの人が考えます。
しかし実際には、多くの人が自分の家を離れて病院や施設に移り、そこで最期を迎えています。ありのままの自分らしく人生をまっとうするのは、実は難しいことなのです。
10年後の日本では、3人に1人が高齢者になるといわれています。人口の少ない若年層が、多くの高齢者を支えなければなりません。そのとき高齢者が自分らしくいきいきと生活し、人生の最期を迎えるにはどうしたらいいのでしょうか。
愛知学院大学の牧野日和先生は言語聴覚士のエキスパートとして、食べたり飲んだりする機能が低下した方が最後まで自分らしく生きるための支援を行っています。そこで提唱しているのが「お食い締め」です。

人生の最期まで「自分らしく」を支える【お食い締め】

人間は、認知症などの病気や障害、老化などによって、食べたり飲んだりする機能が低下することがあります。飲食物が誤って咽頭や気管に入ってしまうと、肺炎の原因になります。食べる量が減れば、栄養が十分に摂取できなくなってしまいます。かつては延命のために、胃にチューブを挿入して栄養を流し込む「胃ろう」という処置を行うことが一般的でした。
しかし近年では、可能な限り口から食事ができるようにさまざまな支援が行われています。
牧野先生の実践する「お食い締め」は、人生の最期を迎える人の食を“その人らしく”サポートする取り組みです。「余命わずかだと思っていた人が、ゼリーを口にしたことで回復し、余命宣告よりはるかに長生きをされた患者さんを担当したことがあります。食べることは単なる栄養の摂取ではなく、生きる喜びといえるでしょう。
病状や障がいは人によって異なるので、決して無理をせず、本人や周囲の方にとって満足のいく食の支援をめざしています」と牧野先生は語ります。

10年後の社会を支える言語聴覚士の仕事。

牧野先生は健康科学部*健康科学科言語聴覚士コースで、言語聴覚士をめざす学生を指導しています。言語聴覚士とは、「聴くこと」「話すこと」「食べること」に障がいのある、赤ちゃんから高齢者までさまざまな人に対して、その人らしい生活が送れるように適切な支援・訓練を行う専門職です。
言語聴覚士コースでは音響学や形成外科学、口腔外科学などの専門知識を学び、臨床実習で実践的な力を身につけ国家試験合格をめざします。「患者さんが一人ひとり違うように、学生も十人十色」と、牧野先生は学生の個性を活かした指導を心がけています。
「言語聴覚士への期待は大きく、医療機関をはじめ保健や福祉、教育機関など幅広い分野で需要が高まっています。人が自分らしく生きるための支援をする、とてもやりがいのある仕事です。大学で幅広い教養を身につけながら言語聴覚士の専門知識を学び、10年後の社会を支える人材をめざしてもらえればと思います」。

10年後のまちづくり

給食を地球規模で考えよう!子どもの栄養が未来を創る。

■学問大分類:栄養・食物
■学問小分類:栄養学
■提供:愛知県 愛知学院大学

カンボジアの子どもたちの栄養状態を知るために!

日本の多くの小学校では、管理栄養士が考えた栄養バランスの良い給食を毎日食べることができます。しかし世界を見渡すと、学校給食のない国が少なくありません。それどころか、栄養士という食のプロフェッショナルが存在しない国もあるのです。
そんな国の一つ、カンボジアの子どもたちの栄養状態の研究に関わってきたのが、愛知学院大学の堀内容子先生です。カンボジアには栄養士や学校給食等の制度などが存在しません。また日本では当たり前となっている食品成分表もないので、食事の栄養バランスを知ることも簡単ではありません。
しかし国が発展していくためには、成長して行く子どもたちの栄養状態を改善することが重要です。改善するために、まずは栄養状態を把握することが必要であり、そのためのツールが必要です。
そこで、堀内先生は、カンボジアの子どもたちの栄養状態を把握するためのツールを作成しました。

栄養状態が改善すれば、10年後の社会が変わる。

現地NGOがカンボジアの子どもたちの栄養状態を調査して明らかになったのは、低身長の子どもが多いこと。そして都市部と農村部では栄養状態に格差があり、都市部では農村部より過体重のこどもの割合が多いということです。そして、この調査データを基に食物摂取頻度調査票(FFQ)を作成しました。
これは、普段の食事状況および栄養摂取状況をアンケート調査にて把握することを目的に開発される調査票です。さらにカンボジア向けの栄養計算ソフトを作成。これらのツールを栄養状態の測定に使用することが期待されます。
日本では戦後より多くの栄養士が学校給食や医療の現場で活躍し、人々の健康の維持に努めてきました。子どもたちの栄養状態の改善が日本の発展を支えてきたともいえます。
カンボジアでも子どもたちの栄養状態は、10年後のカンボジアの成長に大きく関係するのではないでしょうか。その過程で、私の研究が少しでも役に立てばと思います、と堀内先生は語ります。

食事が森林にもたらす影響————SDGsの視点で給食を学ぶ。

堀内先生のゼミで学ぶ「給食経営管理」とは、給食のコストや栄養、安全性、食べる人の満足度などを総合的にマネジメントすることです。授業では、1食400円で献立を考えますが、苦心する学生も多く、給食調理がコストや時間と手間をいかに工夫しているかが分かります。
堀内先生が最近、学生に伝えているのが、SDGsの視点で給食調理を考えること。たとえば食品にはパーム油というアブラヤシの実から採れる油が使われることがあります。このヤシは主に東南アジアで生産されており、森林減少の一因となっています。ふだんの食事が、気づかないうちに遠い国の自然を破壊しているかもしれないのです。
また日本の食は、その多くを海外からの輸入に頼っています。管理栄養士や栄養士として調理をする立場になったとき、その食材がどこでどのように生産されたものなのかを地球規模で意識することも、これからの給食調理には大切な視点です。