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大学入試改革のポイント

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大学入試改革のポイント

大学入試がリニューアル!
2020年度を起点とした大学入試改革と
問われる21世紀型能力とは?

現在、日本社会は大きな転換期を迎えています。少子高齢化に伴う生産労働人口の減少、AIの進化と普及に伴う職業構造の変化など、さまざまな側面から社会構造が大きく変化しています。そうした中、社会に人材を供給する立場にある大学も、大きな変革を迫られており、入試改革はそうした流れの中で進められてきました。
ここでは、大学進学をめぐる現状や2020年度を起点とした入試改革、これからの時代に必要な「21世紀型能力」などについて、大学入試に挑む人が押さえておくべきことを紹介していきます。

大学入試をめぐる現状

少子化に伴う競争倍率の低下、
大学は入りやすくなっている!?

少子化によって18歳人口の減少が進んでいます。1992年の205万人をピークに減少を続け、現在は当時の3分の2以下にまで減少しました(※1 )。その結果、大学入試の全国倍率は低下し、いわゆる「定員割れ」を起こしている私立大学は全体の31.0%にも上っています(※2 )。
ならば、大学入試は易しくなっているのかというと、決してそうとは言えません。全国平均で見れば倍率は低下していますが、一部の人気大学は相変わらず高倍率で、狭き門をめぐるし烈な戦いが続いています。 一方、入学者が定員に満たない大学の中には、経営的に厳しい状況を強いられている所も少なくありません。そうした状況を踏まえ、文部科学省では私立大学の定員厳格化を進めています。競争倍率の高い大学が、定員を超えて多くの学生を入学させた場合に、助成金を交付しないなどの方針を示したのです。その結果、2016年春以降の大学入試では、人気大学の多くが定員の絞り込みを行いました。
この措置により、志願者が分散されれば状況は改善されるはずでした。しかし、人気大学の受験者数がすぐに減ることはなく、結果として一部の大学の競争倍率は高まり、2017年春、2018年春の大学入試は、これまで以上に厳しい戦いとなりました。2019年春の大学入試になって、ようやく受験者が分散し始めはしましたが、「大学は入りやすくなっている」とは考えないほうがよいでしょう。

※1参考:文部科学省「18歳人口と高等教育機関への進学率等の推移」
※2参考:日本私立学校振興・共済事業団「令和2年度私立大学・短期大学等入学志願動向」

文部科学省の対応・対策と動き

18歳人口は今後も減少が進み、2032(令和14)年には100万人を割り込むと予想されています。(※1)この時期になれば、影響は有名私立大学や地方の国公立大学まで及ぶことが考えられます。そんな中、多くの大学は、学生獲得に向けたさまざまな取り組みを行っています。また、文部科学省においても、大学の魅力づくりに向けて、SGUやCOC+、COIなど、さまざまな事業を展開しています。

※1参考:文部科学省「18歳人口と高等教育機関への進学率等の推移」

SGUやCOC+、COIなど、大学・専門学校の新しい取り組みに目を向けよう!

学生を引き付けるため、特色ある新学科の設立や独自の教育プログラムを実施する大学や専門学校が増えてきました。中でも、グローバル化への対応や地方創生など、社会の課題に向き合った教育・研究が注目されています。進学を検討している人は、大学の新しい取り組みに関する情報も積極的に入手しましょう。

スーパーグローバル大学(SGU)創成支援

世界に通用する研究を行う大学や国際化に注力する大学に対し、国から補助金が支給されるというもの。世界大学ランキング100位以内を目指す「タイプA(トップ型)」と、社会のグローバル化を牽引する「タイプB(グローバル化牽引型)」の2つのタイプに分かれています。日本の高等教育の国際競争力強化を目的とし、2014年に計37大学が選定され、グローバル化を見据えた授業やカリキュラムの構築等が進められています。

地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)

人口減少と地域経済の縮小が生む負のスパイラルに歯止めをかけるために、地方の大学には大きな期待が寄せられています。 文部科学省は2013年から「地(知)の拠点整備事業(COC)」により、地域コミュニティの中核的存在(Center of Community)となる大学の形成に取り組んできました。2015年にこの事業をさらに発展させ、「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」がスタート。自治体や地元企業と協働し、その地域における雇用創出や地元定着率の向上を図る取り組みや、地方が求める人材育成のための教育プログラムを整備している大学や高等専門学校を対象に、最大5年間の補助金が支給されています 。

センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム

未来の日本社会を理想の姿に近づけるためには、将来を見据えた研究開発に取り組む必要があります。しかし、大学だけでは実現が難しいプロジェクトも少なくありません。そこで、大学が企業と連携して革新的なイノベーションを連続的に生み出す、「イノベーションプラットフォーム」を整備することを目的として、「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」が2013年度からスタートしています。「ビジョン1 少子高齢化先進国としての持続性確保」「ビジョン2 豊かな生活環境の構築」「ビジョン3 活気ある持続可能な社会の構築」の3つのビジョンの達成に向け、COI拠点として認定された大学が研究開発に挑んでいます。

「高大接続改革」
大学入試の変更を含む、高校教育や大学教育の一体的教育変革

AIの進化・普及やグローバル化、少子化に伴う生産年齢人口の減少などに直面する中、そのような社会に対応できる人材を育成しようと、国を挙げて進められてきたのが「高大接続改革」です。大学入試の仕組みを刷新し、大学や高校の学びも刷新するこの改革が、具体的にどのようなものなのかを紹介します。

【変更点1】センター試験の廃止、「大学入学共通テスト」の導入

大学入試における全国共通のテストとして実施され続けてきた「大学入試センター試験」に代わり、2020年度(2021年1月)から、「大学入学共通テスト」が導入されました。出題教科・科目が6教科30科目で、1月中旬に2日間にわたって実施される点などはセンター試験と同じですが、そこで問われる学力の中身はこれまでとは異なったものになります。
センター試験の問題は、知識の暗記をすれば点数を取れる場合も少なくありませんでした。しかし、「大学入学共通テスト」では知識・技能だけでなく、それらを活用して自ら課題を発見し、解決していく上で必要な「思考力」や「判断力」、「表現力」なども必要とされます。

【変更点2】学力の3要素による評価

各大学が行う個別試験においても、選抜方法が変わりました。具体的に「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」からなる学力の3要素が総合的に評価されます。以前の入試問題は「知識・技能」が中心でしたが、AIの普及・進化に伴う産業構造の変化等により、社会を生きる力として課題解決能力などが求められるようになったことが背景にあります。
このうち、「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」については、学校が作成する「調査書」や受験生本人が作成する「志願理由書」、生徒個々人の学習、ボランティア、部活動、行事、探究などの活動履歴を記録した「eポートフォリオ」などを、入試に活用していくことが方向性として示されています。ただし、これらの資料については点数化が難しいとの理由により、現状では参考資料にとどめる大学も少なくありません。
なお、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」の3要素をどのような比重でどのように評価するかは、各大学・学部が「アドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針)」を踏まえて、決定していく予定です。これからの受験生には、この「アドミッション・ポリシー」の内容をよく読んだ上で、進学先を選ぶこともポイントとなってきます 。

【変更点3】「総合型選抜」と「学校推薦型選抜」

AO(アドミッションオフィス)入試が「総合型選抜」、推薦入試が「学校推薦型選抜」と改められたのも、大学入試の大きな変更点です。
「総合型選抜」や「学校推薦型選抜」では、①各大学が実施する評価方法等(小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技、各教科・科目に係るテスト、資格・検定試験の成績等)または②「大学入学共通テスト」のいずれかが、試験として課されます。かつてのAO入試や推薦入試では、学科試験がほとんどありませんでしたから、この点は大きな変更と言えます。
また、スケジュールが全体的に後ろに倒れました。「総合型選抜」は出願時期が9月以降(以前は8月)で合格発表時期は11月以降(以前は設定無し)、「学校推薦型選抜」は出願時期が11月以降(以前と同じ、合格発表時期は12月以降(以前は設定無し)となっています。

「21世紀型能力」とは

新しい大学入試制度に向けて伸ばすべき「21世紀型能力」とは?

新しい大学入試は、社会状況の急速な変化が背景にあります。これからの社会で求められるのは、「21世紀型能力」。知識の質と量が学力のベースになっていた従来とは異なり、実社会において自ら問題を見つけ出し、他者とコミュニケーションをとりながら解決していくという「21世紀を生き抜く力」が重要になるのです。

思考力・基礎力・実践力から構成される「21世紀型能力」

2013年に国立教育政策研究所が提案した「21世紀型能力」は、「思考力」「基礎力」「実践力」の3つの要素で構成されます。
中核に位置づけられるのは思考力。「一人ひとりが自ら学び判断し自分の考えを持って、他者と話し合い、考えを比較吟味して統合し、よりよい解や新しい知識を創り出し、さらに次の問いを見つける力」と定義されています。問題を発見し、解決に向けて新しいアイデアを創造する力や、論理的かつ批判的に物事を考える力、自分を客観的に見るメタ認知、そこから次へのステップに移る適応的な学習力などがあたります。
思考力を支える基礎力は、「言語、数、情報(ICT)を目的に応じて道具として使いこなすスキル」のこと。基礎的な知識や技能に加えて、情報化が進む時代に対応するための力も不可欠な要素になりつつあるのです。
基礎力と思考力を活用する際に、その方向性を決定するのが実践力です。「日常生活や社会・環境の中に問題を見つけ出し、自分の知識を総動員して、自分やコミュニティ・社会にとって価値のある解を導くことができる力、さらに解を社会に発信し協調的に吟味することを通して他者や社会の重要性を感得できる力、と定義されています。具体的には、自分の生き方をデザインする力やコミュニケーション能力・積極的に社会に参画する力・責任を自覚して行動する力などが挙げられます。

新学習指導要領が提唱する「資質・能力の三つの柱」

こうした流れを踏まえ、2017年3月に告示された高校の新しい学習指導要領においても、これまでとは異なる方向性が示されました。
特徴の一つは、育成すべき「資質・能力の三つの柱」として、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力人間性等」が示されたことです。これは、先述した「学力の3要素」や「21世紀型能力」とも方向性を同じくするもので、「何を理解しているか、何ができるか(知識・技能)」だけでなく、「理解していること・できることをどう使うか(思考力・判断力・表現力等)」、「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか(学びに向かう力人間性等)」なども、これからの社会を生き抜く上で必要な資質として示しています。
もう一つの特徴は、こうした資質・能力を育むための手法として、「主体的・対話的で深い学び」を示したことです。これは「アクティブ・ラーニング」とも呼ばれ、グループ単位でのディスカッションや探究活動などを取り入れながら、一斉講義型授業から脱却していくことが求められています。これまで、学ぶべき「内容」を中心に示してきた学習指導要領に、学ぶべき「方法」が示された点は画期的といえるでしょう。
なお、高校の学習指導要領は、2022年度(2022年4月)の高校入学生から順次導入されます。そのため、2024年度(2025年1月)以降に実施される「大学入学共通テスト」は、出題教科・科目も含めて大幅に変更される見通しです。

「21世紀型能力」を鍛えるためには?

「21世紀型能力」を伸ばすためには、どんな学習方法が効率的なのでしょうか。
グローバル化や情報化が進んだ社会においては、問題解決のために適した知識と能力を活用し、あらゆる情報から必要なものを選択する力が必要不可欠です。そのため、主体的に問題に取り組む姿勢や他者とのコミュニケーションを養うことを目的として、新学習指導要領にも示された「アクティブ・ラーニング」を実施する学校が増えています。従来の受動的な学びとは異なり、児童や生徒、学生が能動的に学びに向き合うことで、多様性や創造力の向上が期待できるでしょう。
一部の自治体や私立学校では、全生徒に1人1台のタブレット端末を配布するなどして、ICTを活用した探究学習やプロジェクト学習などが展開されています。また、2019年12月には、政府が経済対策の一環として、小中学校に一人一台のパソコン等を配備する方針を示しました。今後、ICT機器の普及が進めば、各学校が「21世紀型能力」を育む上でも大きなアドバンテージとなることでしょう。

※3参考:文部科学省「教育の情報化に関する手引」(案) 第7章 学校におけるICT環境整備

大学入試改革に関する3つのポイント

Point
1

少子化による大学の定員割れが増加。大学の特色や個性が学生獲得の大きなポイントに

Point
2

「大学入学共通テスト」では「思考力」や「判断力」、「表現力」も求められる

Point
3

新時代を生き抜く力である「21世紀型能力」は、新しい入試制度でも問われる重要な能力