先輩・先生・授業
“見たいモノ”を見たいように撮る。

“はやぶさ”の物語が日本の希望になる。
『トリック』『20世紀少年』シリーズなどの話題作を手がけてきた映画監督の堤幸彦さん。斬新な映像感覚もさることながら、スピーディかつハイペースな仕事ぶりでも有名。映画『はやぶさ/HAYABUSA』も、現実の宇宙探査機の帰還から1年あまりで公開にこぎつけた。
「これまで十何年も、映画をカジュアルに、速く撮るというシステム作りに奔走してきたので。『はやぶさ』はそのひとつの成功例ですね」
東日本大震災とそれに続く原発事故。堤さん自身も、被災地でのボランティア活動に参加している。この作品からどんなメッセージをくみ取ればよいのか。
「3・11で日本の科学技術への信頼は揺らいだともいわれています。日本がそういう時代を迎えたことに対する驚きもあれば、僕自身どうするんだ? という危機感もある。科学者たちが成し遂げた“はやぶさ”の偉業は、その回答のひとつであり、僕はそこに日本の希望を感じるんですね」
“民主主義なんて幻想よ”逆説の『フライングゲット』。
2011年には、AKB48のミュージックビデオ『フライングゲット』も演出。映画『キル・ビル』を思わせる世界観で、総選挙を終えたばかりのメンバーに、あえて仁義なき戦いを挑ませる痛快な仕上がりだ。
「“民主主義なんて幻想よ”といったセリフを入れたり、すべて逆説の手法でやれたので、いたずらとしては、とても面白い作品でしたね」
脚本からカメラワークを決めるときは、“自由自在に”“ 見たいモノを見たいように撮る”。そんな映像との向き合いかたもミュージックビデオの演出で身につけた。そんな堤さんが、これからの映像クリエイターにのぞむことは何だろう。
「パソコンを映像環境のベースにしている世代と僕のようなアナログ人間では発想がまったく違う。いずれ僕の映像制作の方法論は古くなり、駆逐されていく運命にあります。これから、そういった既存の概念を壊す新たな才能がどんどん東放学園から生まれてくるといいですね」



